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2015年7月20日(月)

きょうの潮流

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 家の日めくりカレンダーにこんな格言がありました。「毎日の中で一番無駄に過ごされた日は、笑わなかった日である」。フランスの道徳家によるものですが、怒りが募るばかりの昨今、つい気に留まりました▼笑いは人生に潤いをもたらすといいます。人を笑わすことは、ある種の快感が自分に伴うとも。少年のころにそれを覚えたお笑い芸人が、笑いの世界でもがく若者の心情を描き、芥川賞に選ばれました▼お笑いコンビ「ピース」の又吉直樹さん。人見知りで暗く、周りからも浮いていたという又吉少年。しかし、おまえは変だとみんなが笑えば、その期待には応えなければと強く思っていたそうです▼内面と外面のギャップが生む苦しみや悩み。そこから救ってくれたのがさまざまな人の考えと向き合える小説でした。受賞作「火花」も、同じ世界に生きながら純正に笑いを追求する先輩芸人との濃密な人間関係や葛藤が内省的につづられます▼同時受賞した羽田圭介さんの「スクラップ・アンド・ビルド」も、祖父を介護する若者の心の動きをリアルに見つめています。失業中で毎日のように「死にたい」ともらす祖父と暮らす孫。しかし高齢者と若者を対立させず、現実にもがきながらも前向きな影響を与える存在として▼「今の自分には、昼も夜もない白い地獄の中で闘い続ける力が備わっている」。主人公に先人が教えてくれたものとは―。35歳と29歳のみずみずしい感覚で描いた小説に共通するのは、人間への限りない愛情です。


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