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2015年7月8日(水)

農協「改革」法案について

紙智子議員の質問

参院本会議

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 日本共産党の紙智子参院議員が3日、参院本会議で行った農協「改革」法案への質問(要旨)は以下の通り。


 「戦後レジームからの脱却」「岩盤規制の打破」を掲げる安倍総理は、施政方針演説で、今年、60年も変わらずにきた仕組みを抜本的に改める、農協、農業委員会の「改革」を断行すると繰り返しました。

農業の土台破壊

 衆院では、審議するほどに、参考人からも、地方公聴会でも、政府の答弁は分からないし、実情にかみ合っていないと疑問が膨らみ、批判が噴出しました。誰のための何のための改革でしょうか。

 規制改革会議が昨年5月に公表した農政改革案が出発点になっています。農業への参入を求める財界は、規制改革会議を足掛かりに、農業関係者の意見も聞かずに「改革」案をまとめたため、JA全中は抗議の決議をあげました。片や、農協金融の規制緩和を求めるアメリカの在日商工会議所は、日本政府および規制改革会議と密接に連携し、成功に向けた支援を行うと表明しました。背景に財界とアメリカの要求があることは明らかです。

 農業組織を変えるこの「改革」案は、日本の農業の土台を破壊するものではありませんか。

 農協法の改定について質問いたします。政府案では、「組合は営利を目的として事業を行ってはならない」との規定を削除し、「農業所得増大に最大限の配慮」「高い収益性を実現」に変えました。収益性を上げるために、利益は少なくとも農業の将来に必要な分野を切り捨てることになりかねません。協同組合の性格を形骸化させ営利企業化を求めるものです。

 なぜ農協「改革」が農家の所得を増やすことになるのか、いまだに誰も納得していません。

 安倍総理は施政方針演説で、農家の所得を増やすための「改革」だと強弁しましたが、林農水大臣は、この「改革」だけで農家の所得が増えるとは考えていないと私に答えました。参考人からも、中央会制度を「改正」すれば農業所得が向上するというのは理解に苦しむと言われています。

 准組合員の事業の利用規制の問題も重大です。地域の銀行や商店、病院が減り、農産物の直売所、信用、共済事業、ガソリンスタンド、福祉事業などを行う総合農協が地域住民の生活の支えになっています。准組合員は、農協経営や地域経済の支え手となっているのです。利用を規制すれば総合農協の経営は成り立ちません。5年後の見直し規定を入れたのは、財界や大企業が信用、共済事業をビジネスチャンスとして狙っているからです。

公選制は合理的

 農業委員会の公選制の廃止も重大です。農地は複雑な歴史と利害・権利関係など重層性を持っています。どこを、誰が、どのように利用するのが一番適切かを最も把握しているのは農業者自身です。だからこそ、耕作する農家の声を反映させ、地域をまとめる合理的なあり方として、農業者自らが代表者を選ぶ公選制という仕組みを取ってきました。公選制から市町村長の任命制に変え、定数も半減すれば、農地の番人である農業委員会の役割が後退するのは明らかです。農業委員会を行政の下請機関に変質させるものです。

 また、法律で保障された農業委員会の農業、農民に関する意見の公表を削除することは、JA全中の社団法人化や建議規定の削除と軌を一にしたものであり、TPP(環太平洋連携協定)反対の先頭に立ってきたJA全中とともに農業委員会の弱体化を狙ったものではありませんか。

 このほかにも解決されていない問題が山ほどあります。出口先にありきではなく、納得できるまで時間を取って質疑を行うように強く求めます。


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