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2015年6月18日(木)

きょうの潮流

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 トルストイの晩年の小説『復活』は青年貴族と、かつて愛した女性とのかかわりを通して、人が人を裁くことの根源的な意味を説いたものです▼「人間は個人的にも社会的にも、他人を罰する資格はない。むしろ相互に理解し助け合うべきである」。そのトルストイの刑法観を講演で紹介したことが、戦前の思想言論弾圧、滝川事件の発端でした▼当時の政府は侵略戦争に突き進む中で国家統制を強めていました。京大法学部の滝川幸辰(ゆきとき)教授の刑法学説にたいし、国会議員らが「赤化思想」だと追放を主張。法学部の教授団や各大学の学生をはじめ、幅広い抗議運動がわき起こりましたが、処分は強行されました▼“大学自治の墓標”ともいわれた同事件。下村文科相による国立大学への「日の丸」「君が代」の要請は、戦前の過ちをくり返す国による介入にほかなりません▼予算を盾にした要請は圧力そのもの。「国家の命令に従うべきではない」と、学長の中にも批判がひろがります。重要な教育の場である入学・卒業式の内容について時の政府が特定のあり方を強いることは、憲法や教育基本法から逸脱している。そう指摘する教育学者も▼「大学の使命は固(もと)より真理の探究に在り」。文部省の措置は「大学の使命の遂行を阻害するもの」。これは滝川事件の際に出した法学部教授団の声明です。当時のたたかいは学問の自由、大学の自治を確立した戦後の礎になりました。いつか来た道をたどらないためにも、歴史の教訓に立ち返るときです。


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