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2015年6月9日(火)

きょうの潮流

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 詩仙と称された李白(りはく)の詩は、中国の壮大な山河にいざない、ときには静ひつな月光のもとへとみちびきます。20代の頃、長江を下って江南の地に赴く李白がつくった漢詩があります▼「峨眉(がび)山月/半輪の秋/影は平羌江水(へいきょうこうすい)に入って流る/夜清渓(せいけい)を発して三峡に向う/君を思えども見えず/渝州(ゆしゅう)に下る」。月の夜に長江三峡へと向かう心境を詠みました。李白にかぎらず、昔から長江の景勝は旅愁を誘ってきました▼いまも長江クルーズは大人気。その景観とともに三国志ゆかりの地をめぐる船旅は日本でも知られています。そこで起きた大型客船の転覆事故から1週間がたちました。死者は430人をこえ、生存者は14人のままです▼今後は惨事の本格的な原因究明に焦点が移りますが、疑問は多い。船が違法に改造されていなかったか、過積載はなかったか、悪天候で運航を見合わせた客船もあるのになぜ航行を続けたのか。はっきりした解明が求められています▼多くの命を運ぶ乗り物の安全対策に国の違いはあってはならないはず。今回のクルーズは外国人も利用でき、同様の旅はインターネットでも募集しています。利用者に国境はありません▼古くから文明を築いてきた母なる川。杜甫(とほ)も「不尽(ふじん)の長江/滾滾(こんこん)として来たる」(登高(とうこう))とうたい、尽きることのない長江の流れにわが身を置き、深い感慨に浸りました。悠久の流れにみずからの人生を重ねていた最中に突然、命を断ち切られてしまった無念さ。天災で済ますわけにはいきません。


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