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2015年6月6日(土)

那覇空港 横切った誤認空自ヘリ

軍民共用の危険浮き彫り

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 航空自衛隊のヘリコプターが沖縄県の那覇空港で3日に引き起こした無許可離陸、民間機が離陸中の滑走路上空の横切りという、一歩間違えれば衝突という大惨事につながりかねないトラブルでした。今回のトラブルから見えてくるのは過密化した民間との「軍民共用」空港での自衛隊機の運用拡大に潜む危険性です。


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(写真)離陸許可なしに離陸、滑走中の全日空機の前方を横切った空自ヘリ(CH47)と同型機=那覇空港

 トラブルは3日午後1時すぎ、那覇空港で離陸するために滑走していた全日空機新千歳行き1694便ボーイング737(乗客乗員83人)の前方を、航空自衛隊那覇ヘリコプター輸送隊所属のCH47Jが管制官の指示を受けずに上空を横切って飛行、全日空機が急停止して離陸を中止しました。

 直後に、着陸のために同滑走路に進入中だった新石垣空港発の日本トランスオーシャン航空(JTA)610便ボーイング737(同44人)に管制官が着陸やり直しを指示。しかしJTA機はそのまま着陸。停止中の全日空機との距離は400〜500メートルで、あわや衝突という危険性がありました。

 国土交通省は運輸安全委員会調査官を派遣、原因究明にあたっています。

 国交省によると自衛隊ヘリは管制官からの離陸許可を受けていませんでした。空港敷地内の飛行は、どこからどういう方角をどう飛行するのかなどを事前に管制官に通知、許可を得る必要があります。

 特に滑走路をまたぐ形で飛行する場合には離陸して右か左などの細かい方向について協議。管制官は離着陸の混み具合などを判断して「待て」「反対方向に飛行せよ」などと指示します。

 ヘリのパイロットが離陸許可を受けたと勘違いして復唱した無線通信が管制官に届きませんでした。しかし全日空機の離陸前、管制官が空自ヘリに対して行った誘導路上での待機指示に、パイロットからは復唱があったといいます。

 今回、自衛隊と管制官がどんなやりとりをしたのかについては「運輸安全委員会の調査事項であり、われわれは言及できない」(国交省航空局管制課)としています。

 自衛隊機の事故をめぐっては、操縦士と副操縦士の階級差から十分な意思疎通が図られないなかで「安全確認がおろそかになり、事故につながるケースがある」との指摘があります。

 沖縄の米軍や自衛隊に詳しい県内メディア関係者は「過密化する那覇空港で、本来ならばいっそう安全飛行しなければならない自衛隊が、管制官とのやりとりを復唱するというルールをしっかりやらずに、緊張感を欠いた操縦をしたのではないかと疑われてもやむをえない」と指摘しました。

 那覇空港は民間航空機と自衛隊機との「軍民共用」空港です。観光客の増加による民間機の増便、格安航空(LCC)やアジアからの国際便の参入で過密化。一方、自衛隊は尖閣問題などを理由に日米統合実動演習(2014年11月)などでは全国の陸海空自衛隊基地から戦闘機や空中給油機、早期警戒管制機などを那覇空港に集中させています。

 さらに新防衛大綱(11年3月)で那覇基地にF15戦闘機を現在の1個飛行隊(20機)から2個飛行隊に増強する計画をすすめています。

 那覇空港では、「軍民共用」による事故が後を絶ちません。13年3月にF15戦闘機のタイヤがパンク。滑走路が約1時間閉鎖され、約2200人に影響が出ました。05年5月には滑走路上に自衛隊機がとどまったため、着陸しようと降下した全日空機が直前に上昇し、着陸をやり直しました。

 自衛隊による管制官の離陸許可の誤認など、トラブルの原因と責任糾明が求められています。 (山本眞直)

軍民機、特性が違う

 日本乗員組合連絡会議(日乗連)の現役パイロット(安全担当)の話 私自身は、これまで管制の指示が的確で、怖い目にあった経験はない。このような事故が頻繁に起きているわけじゃない。那覇空港は、軍民共用で飛行機の特性が違うものが混在している。ジェット旅客機が飛ぶこともあればヘリコプターも飛ぶし、戦闘機も飛ぶ。パフォーマンス(性能)が違う種類の航空機が混在することは、管制がやりにくいはず。

「空自ヘリが原因」防衛相認める

 中谷元防衛相は5日、閣議後の記者会見で、那覇空港で航空自衛隊ヘリが離陸滑走中だった旅客機前を横切ったトラブルについて、「民間機に対する管制官からの離陸許可を誤認識して離陸したため発生した」と述べ、空自ヘリがトラブルの原因だったと説明しました。中谷氏は「このような事案が発生したことは大変遺憾。航空機を保有する全部隊に管制指示の厳守など指示をした」と述べました。

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