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2015年6月3日(水)

主張

自衛隊「後方支援」

「戦闘にならぬ」は通用しない

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 「戦争法案」について日本共産党の志位和夫委員長が連続して行った国会質問が、メディアの報道やインターネットなどでかつてない反響を呼んでいます。その一つに、石川県の女性が志位氏の質問(5月27日、衆院安保法制特別委員会)の一部を丹念に書き起こし、その転載(シェア)が異例の広がりをみせているフェイスブックの投稿があります。この投稿が再現したのは、志位氏が自衛隊の行う「後方支援」の本質を告発した場面です。志位氏はこの日、「後方支援」は「戦闘にならない」「武力行使と一体ではない」という政府の立論を根本から突き崩しました。

「自己保存型」の矛盾

 「戦争法案」は、武力行使をしている米軍などに対し自衛隊が補給や輸送などの「後方支援」を行うことを定めています(重要影響事態法案、国際平和支援法案)。この中には、自衛隊の活動は「非戦闘地域」に限るという従来の「歯止め」をなくし、戦闘が発生する可能性のある地域(戦闘地域)でも「後方支援」をできるようにする重大な変更が盛り込まれています。志位氏の追及に、安倍晋三首相は、自衛隊が「戦闘地域」で相手方から攻撃される可能性を「100%ないと申し上げたことはない」と述べ、攻撃されれば武器を使用することも認めました。そうなれば戦闘になることは明白です。

 ところが、首相は戦闘になることをかたくなに認めず、自衛隊は「自己保存型の武器の使用しかできない」と弁明しました。政府はこれまで、自衛隊員の生命・身体を防護するための武器使用は「自己保存のための自然権的権利というべきもの」であり、憲法9条が禁じる「武力の行使」に当たらないとしてきました。首相の答弁はこの政府見解に基づくものです。

 こうした理屈は、実態上も、国際法上もまったく通用しません。

 志位氏は、「非戦闘地域」とされたイラク・サマワに派遣された自衛隊が対戦車弾や無反動砲などで重武装していたことを指摘し、「戦闘地域」にまで行けばさらに強力な武器を持っていくことにならざるを得ず、こうした武器を使って反撃することは戦闘以外の何物でもないと迫りました。

 しかも、外務省自身、志位氏に提出した文書で「国際法上、自己保存のための自然権的権利というべき武器の使用という特別な概念や定義があるわけではない」と答えています。国際法上は、「武力の行使」と「武器の使用」を分けた議論など存在しないのです。

 自衛隊の「後方支援」、国際的には「兵たん」と呼ばれる活動の本質も明らかになりました。

 政府は、「後方支援」は「現に戦闘行為が行われている場所」(戦闘現場)では実施しないから米軍などの武力行使とは一体にならず、憲法上問題ないとしています。

世界と軍事の非常識

 しかし、志位氏が示した米海兵隊の教本は、「兵たんは戦闘と一体不可分」「全ての戦争行動の中心構成要素」と強調しています。戦時国際法(ジュネーブ条約追加議定書)上も攻撃の目標になります。武力行使と一体にならない「後方支援」などというのは、世界の非常識、軍事の非常識です。

 「戦争法案」は、武力の行使を禁止した憲法9条をじゅうりんする違憲立法です。廃案にする以外にないことは明瞭です。


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