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2015年5月1日(金)

医療保険改悪法案に対する

堀内議員の反対討論

衆院本会議

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 4月28日の衆院本会議で採決された医療保険制度改悪法案に対する日本共産党の堀内照文衆院議員の反対討論は以下の通りです。


 はじめに、国民健康保険法案は制度創設以来の大改定であり、内容は多岐にわたるにもかかわらず、参考人も含め22時間足らずで委員会審議を打ち切り、採決しようとしていることに強く抗議するものです。

 本法案は、この間の自公民3党合意の社会保障と税の一体改革やそれにもとづくプログラム法などと一体のものであり、国民の自助、共助へと社会保障を変質させるものにほかなりません。

 国保法第一条には、「国民健康保険事業の健全な運営の確保」とともに、「社会保障及び国民保険の向上に寄与する」ことを目的とすると明確にうたっています。国民皆保険制度を縮小させるこの法案は、憲法25条に規定された社会保障に対する国の責任を放棄するものであり、断じて許せません。以下、具体的に反対する理由を述べます。

 第一は、今でさえ耐え難い国保料の引き上げや徴収強化をまねくことです。

 市町村は、都道府県に「納付金」を納めますが、保険料の収納状況に関係なく100%納付が義務付けられます。都道府県は市町村に「標準保険料率」を示しますが、これは将来的な保険料負担の平準化にむけた地ならしであり、いっそうの保険料引き上げや徴収強化につながりかねません。

 国は3400億円の財政支援を新たにおこなうといいますが、国庫負担はこの数十年のあいだの連続した引き下げで、1年あたり実質1兆円から2兆円規模なくなっています。そのために、各市町村で一般会計からの繰り入れをしてもなお、国保料が高く、滞納世帯が360万を超えています。医療にたどり着けず重度化、死亡する事態、一方的な差し押さえなどで生活苦をも強いられる深刻な事態が後を絶ちません。

 国民に医療を保障する制度が、国民の生活苦に追い打ちをかけ、人権や命を脅かすことがあってはなりません。住民の暮らしと健康を守る国保制度を再建するために、国庫負担の抜本的増額を求めるものであります。

 第二に、都道府県が医療費適正化計画で医療費削減の目標を持ち、毎年その進捗(しんちょく)を検証することが規定されていることは重大です。地域医療構想とセットで、病床機能の再編・削減等を促進することになります。国保の都道府県管理によって権限を強め、さらなる医療費抑制を都道府県の責任でおこなわせるものであり、必要な医療を公的保険で受けることができる皆保険制度を縮小させるものです。

 第三に、「患者申し出療養」は保険診療の例外を広げ、混合診療に道を開くものです。安全性・有効性を確保する審査体制の見通しがありません。有害事象が発生しても公的補償制度からは除外されているうえに、「患者の申し出」が起点だとして、患者に責任を負わせるものです。

 難病団体は、保険の外に留め置かれる治療や薬が増え、患者の負担が途方もなく増大し、手が届かなくなると懸念しています。困難な病気とたたかう患者のためというのなら、「患者申し出療養」は白紙に戻し、確実に保険に結びつく仕組みを充実させていくべきです。

 最後に、「公平」を口実に、現役世代にも高齢者にも新たな負担増を強いることも重大です。

 入院時食事療養費の引き上げ、紹介状なしで大病院を受診した場合の定額自己負担の義務付け、後期高齢者医療制度の保険料特例軽減の廃止は、深刻な受診抑制をまねくものです。

 協会けんぽへの国庫負担率下限の引き下げは、中小零細企業労働者の保険料率引き上げにつながります。そのうえ今後、費用の適正化、保険給付の範囲など、さらなる負担増の検討まで盛り込んでいることは断じて容認できません。

 国民がいつでもどこでも安心して医療を受けられる「国民皆保険」の原則を大本から揺るがす本法案は廃案にすべきことを強調し討論を終わります。


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