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2015年4月25日(土)

きょうの潮流

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 折れ曲がった車両と大きな鉄板。その間で押しつぶされて、重なり合う人びと。日常に起きた出来事を受け入れがたい思いが、無表情の顔からうかがえます▼あの日。2両目の車両にいた小椋聡さんが事故直後の様子を絵に表しました。小椋さん自身、右足を座席や乗客の体に挟まれて動けない状態でした。聞こえてくるうめき声や叫び声。凄惨(せいさん)な光景を描いたのは「理不尽にも多くの命が奪われた現場を伝えたかった」▼事故当時、大阪芸大の3年生だった福田裕子さんの絵には苦悩がにじみ出ます。墨汁をぶちまけ、もやもやとした背景の中にたたずむ動物と横たわる人体。1両目で大けがを負った彼女は復学してから人物画が描けなくなりました▼モデルを直視できず、手も動かず涙まで出てくる。車内で感じたいろんな感触がよみがえってくるからです。留年してとりくんだ卒業制作の絵には、その揺れ動く気持ちが表現されています▼死者107人、負傷者562人を出したJR福知山線の脱線事故から、きょうで10年。東京でも企画展が開かれています。悲惨な事故を招いた効率優先、安全軽視の意識を今に問い直そうと▼事故の真相解明や安全を求める遺族や被害者、世論の声は、自動列車停止装置の整備をはじめ、社会を動かしてきました。一方で、この国にはびこる利益優先の構造は、私たちの生活を脅かしつづけています。事故現場近くの畑にはいま、白いダイコンの花で描かれた「生」と「命」の文字が浮かび上がっています。


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