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2015年4月9日(木)

きょうの潮流

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 日本音楽のあらゆる分野に足跡を残した作曲家・伊福部(いふくべ)昭さんは映画「ゴジラ」のテーマでも有名です。タタタン、タタタンの音の連続に怪獣が迫りくる恐怖や不安、生気あふれる律動感が伝わってきます▼もっとも特撮映画の音楽は大変だったらしい。とくに苦労したのは実存しない怪獣の鳴き声。スタッフ全員で知恵を出し合い、最後に行き着いたのがコントラバスの弦を革手袋でしごく方法。創造の産物だったと、伊福部さんはいいます▼音楽をはじめ、美術や衣装、特殊技術から時代考証まで。さまざまなクリエーターが集まる映画づくりは、総合芸術の場とも。その製作現場の歴史を資料でたどる展覧会が、砧(きぬた)公園内にある世田谷美術館で開かれています▼戦後の黄金期を支え「ゴジラ」や「七人の侍」を生んだ東宝砧撮影所。伊福部さんが「いちばん近代的で、エネルギーがあった」という現場は、まさに創造性をはぐくむ原点でした▼“戦争中、私たちは定められた軍国の教条をくり返すほかなかった。自己を表現するためには社会的な問題を離れた道を探さねばならなかった”。黒澤明監督が反省をこめて振り返ったように、戦後は社会や人間のほんとうの姿を描こうとする作品が相次ぎました▼核実験の愚かさを突きつけた「ゴジラ」。無用とされた人間の輝きと民のたくましさを大胆に表現した「七人の侍」。創造の現場でありつづけた映画の歴史。そこから何を学び、引き継ぐか。数々の資料を見ながら思いをめぐらせました。


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