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2015年4月1日(水)

好きな人と生きる権利へ一歩 同性パートナー条例成立

将来不安の軽減を

“国でも議論すすめて”

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 同性カップルを公的パートナーと証明する東京都渋谷区の条例が31日、本会議で可決された瞬間、手を握りあって喜びをかみしめたというのは、同区に住む東小雪さん(30)と増原裕子さん(37)のカップルです。「行政が私たちを家族と認めてくれるのは本当にうれしい」と増原さん。東さんは「同性カップルも異性カップルと同じように結婚を選択できるよう、今後は国でも議論を進めてほしい」と語りました。


写真

(写真)同性カップルを公的パートナーと証明する条例が成立し、喜びあう性的マイノリティー当事者たち。左から2人目は杉山文野さん、同3人目・4人目はレズビアンカップルの増原裕子さんと東小雪さん=31日、東京都渋谷区

 区が発行するパートナーシップ証明は、同性愛者だけでなく、性同一性障害など性別違和を持つ人たちも対象にしています。

 女性として生まれ、現在は男性として社会生活を送る杉山文野(ふみの)さん(33)は、戸籍上はまだ「女性」となっているため、いま交際している女性との関係も戸籍上は「同性カップル」です。

 「好きな女性と一緒にいる権利を得るためには、戸籍の性別を男性に変更する必要があります。でも戸籍の性別を変えるには、現行法では生殖器を取ることが条件となっています。生殖器まで取る必要はないと感じていても、取らなくてはいけないのかと悩んできた」と明かします。パートナーシップ証明があれば、不必要な手術がなくなる可能性も高いといいます。

課題多く残され

 一方、課題も残されています。

 証明書を得る条件には、任意後見契約の公正証書の作成などがあります。お金がかかるうえハードルも高く、実際に使える人がどれほどいるのかという懸念の声が出ています。

 区が、パートナーシップ証明を「結婚に相当する」と掲げていることに対しても疑問が出ています。法的効力がないため、実際に得られる権利は限られており、「結婚に相当する」との言葉だけ独り歩きしているのでは、との疑問です。

 条例案が検討される過程では区民に開かれた議論の場が設けられず、突然発表された問題も指摘されました。今後、区民や事業者の理解をどう進めるのかも問われています。

人々の意識変化

 こうした課題がありながらも、「条例が全国に知られ、人々の意識が変化し始めたことは大切です」と、前出の杉山さんは歓迎します。「『身近に存在しない』と思われてきた性的マイノリティーについて今やっと議論する段階にきた。今回の一歩は大きい」

 渋谷区に続き、世田谷区や兵庫県宝塚市も同性カップルの認証制度を検討することを明らかにしています。

 中野区で同性パートナーと暮らす山縣(やまがた)真矢さん(48)は「これを突破口に、中野区も動いてほしい」と期待します。「これから老後のことや何か緊急事態があったときのことを考えると、何らかの制度があれば将来への不安が軽減されると思う」と語りました。 (舘野裕子)


不平等解消される大きなステップに

 宮地基・明治学院大学法学部教授の話 この条例のパートナーシップ証明に直接の法的効力はないため、夫婦なら当然認められるような法的保障や権利はありません。しかし、同性カップルがパートナーとして公認を得られることは、社会生活上の不利益・不平等が解消される大きなステップになるでしょう。

 ドイツの同性パートナーシップ法も施行当時は「結婚」ではないという前提に立っており、得られる法的保障や権利は限られていました。しかし実態として夫婦と異ならないのに、法律上、違う扱いをするのは法の下の平等に反するという判決が相次ぎ、徐々に「結婚」に近づいています。


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