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2015年2月6日(金)

TPP合意急ぐ日米政府

米・牛肉・豚肉 日本が譲歩 農家ら「国会決議違反、撤退を」

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 日米政府は、早ければ3月中の環太平洋連携協定(TPP)大筋合意を目指して、2国間協議の決着を急いでいます。交渉参加12カ国の国内総生産(GDP)の約90%を占める日米の合意をてこに、全体の合意を推進する意向です。そのため、農産物重要品目の関税協議で、日本政府が国会決議に反して米国の要求を受け入れる危険が差し迫っています。


 オバマ米大統領は1月20日、今年の施政方針を示す一般教書演説で、TPPなどを推進する執念を示し、議会に対し大統領貿易促進権限(TPA)の付与を求めました。通商代表部(USTR)のフロマン代表も2日の講演で、「TPPの最終合意の輪郭が明確になりつつある」と見通しを語りました。

 甘利明TPP担当相も3日、2月中にも日米間の決着を図る意向を示し、「春の早いうちに交渉参加国12カ国の閣僚会合が持てることが望ましい」と述べました。

 日米協議では、日本政府は、主食用米の輸入を拡大するため、無税で輸入するミニマムアクセス(最低輸入機会)とは別枠で「TPP特別枠」を新設し、米国産を含めて年間5万トン規模の拡大を検討していると伝えられます。米国は、20万トン規模の拡大を要求しているとされます。日本は現在、ミニマムアクセスで年間77万トンを輸入しており、米国からは36万トン程度を輸入しています。うち、主食米は数万トン。甘利TPP担当相は1月27日、米国産主食米輸入について「1粒も増やさないということは不可能だ」と述べ、早々に白旗を掲げました。

 牛肉の関税では、現行の38・5%を9%前後まで段階的に削減する方向で検討。輸入量が急増した場合に発動するセーフガード(緊急輸入制限)では、日本以外11カ国からの輸入総量を基準にし、現在の輸入量の50万トンから段階的に引き上げる案が浮上しているとされます。

 豚肉では、高額の豚肉の関税4・3%を撤廃。1キロ=542円以下の豚肉については、セーフガードの導入を条件に、1キロ当たり最大482円の関税を50円前後へ段階的に削減する方向です。

 こうした政府の対応は、農産物重要5品目(米、麦、牛・豚肉、乳製品、砂糖)を交渉対象にしないよう求めた国会決議に反します。農民運動全国連合会(農民連)の笹渡義夫副会長は、「現在の交渉は、国会決議を完全に逸脱している。国会決議に従い、交渉から直ちに撤退すべきだ」と指摘します。


 TPP トランス・パシフィック・パートナーシップ協定(環太平洋連携協定)。太平洋をめぐる諸国の間で経済活動のルールを共通にし、多国籍大企業が思いのままに活動できるようにすることが目的です。現在、日米など12カ国が交渉中です。米国が主導し、米国のルールを共通ルールとして押し付けようとしています。そのため、国内産業や国民生活を守るために定められた各国の制度や規制が壊される危険があり、交渉参加諸国で反対運動が起きています。


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