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2015年1月28日(水)

主張

ギリシャ総選挙

暮らし守れのたたかいの勝利

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 緊縮政策の是非を最大の争点として、25日投開票されたギリシャ総選挙で、反緊縮の急進左派連合(SYRIZA)が、保守の現政権党、新民主主義党(ND)に大差をつけて圧勝し、党首のアレクシス・ツィプラス氏が首相に就任しました。ギリシャ国民は、欧州連合(EU)が主導する国民犠牲の緊縮政策にきっぱり「ノー」の審判を下しました。EU各国で緊縮政策が大きな論争の的となる中、反緊縮の立場を鮮明にする政権が誕生するのは初めて。欧州の代表的なメディアの一つ仏紙ルモンド(電子版)は「急進左派の歴史的勝利」と伝えています。

緊縮による人道的危機

 ギリシャは2009年秋、財政報告の粉飾が明らかになり、翌年には深刻な債務危機に陥りました。EUと欧州中央銀行(ECB)、国際通貨基金(IMF)の3者(トロイカ)は同国支援に総額2400億ユーロ(約32兆円)の支援を決定すると同時に、厳しい緊縮政策と構造改革の実行を迫ってきました。

 それは、財政赤字削減のため公務員の人員削減や賃金の切り下げ、年金カット、付加価値税(日本の消費税に相当)増税、医療・教育予算の削減、スト権や交渉権といった労働者の権利の制限など広範囲に及び、国有資産の売却(民営化)を含め、「緊縮の実験室」と称されます。

 国民の生活は大打撃を受け、労働力人口の4人に1人(25歳以下では2人に1人)が失業。国内総生産(GDP)は債務危機前に比べて4分の1も減少しています。

 医療予算の大幅カットは無保険者を激増させ、現在では人口の3割(約300万人)に達するといいます。このためロイター通信によると、もともと途上国支援を主な目的に設立された国際NGO(非政府組織)「世界の医師団」がギリシャに開設した無料診療所にこれらの人々が殺到する事態も生まれています。

 SYRIZAはこうした状況を「人道的危機」ととらえ、これに終止符を打つために、支援融資の条件とされた緊縮と構造改革に関するトロイカとの合意の一部破棄と再交渉を主張。労働者、国民は、大銀行救済を最優先した緊縮政策に反対して幾度もストライキやデモを組織してたたかってきました。こうしたたたかいがついに政権獲得に結実したのが今回のギリシャ総選挙です。

 EUは選挙結果に衝撃を受けながら、「約束は実行すべきだ」との立場を表明し、引き続きギリシャが緊縮と構造改革を実行するよう求めています。SYRIZAの主張とは真っ向から対立する姿勢であり、今後の展開は予断を許しません。

問われる欧州統合の意味

 問題はギリシャだけにとどまりません。EUはユーロ危機発生後、財政規律を優先させる緊縮政策を推進してきました。その結果、EUでは経済が停滞し、極右勢力台頭の一因ともなり、いまでは緊縮への怨嗟(えんさ)の声とともに、国民生活を守るためのたたかいが各国で広がっています。年内には南欧のポルトガル、スペインでも総選挙が行われ、反緊縮派の躍進が予想されています。

 ギリシャ総選挙の結果は、国民生活を犠牲にした改革や経済再建は不可能だということを示しています。


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