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2015年1月26日(月)

イスラエル首相に訪米招請 米共和党に批判相次ぐ

「イラン核協議に悪影響」

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 【ワシントン=島田峰隆】米国の野党共和党のベイナー下院議長が、オバマ大統領の頭越しに、イスラエルのネタニヤフ首相の訪米を招請し、米議会での演説を要請したことが、政界に波紋を引き起こしています。自国の首脳の意向を無視して一方的に他国の首脳を招いただけでなく、重要局面を迎えているイラン核協議に悪影響を与えると批判が出ています。


 ベイナー氏は21日、「ネタニヤフ首相にイスラム過激派とイランの深刻な脅威について米議会で演説してもらうようお願いした」と突然発表しました。同首相招請にあたりオバマ氏や与党民主党に相談しなかったことも明らかにしました。

 オバマ氏は20日の一般教書演説で、対イラン制裁の強化を含めて賛成できない法案には拒否権を行使すると表明し、新たな制裁に積極的な共和党との対決姿勢を示しました。ベイナー氏の今回の行動は政権をけん制し、対イラン強硬策を推進する狙いがあるとみられています。

 アーネスト米大統領報道官は21日、ベイナー氏に対して「外遊の計画では首脳同士が連絡を取るという外交儀礼からの逸脱だ」と不快感を表明。22日にはネタニヤフ氏が訪米してもオバマ氏は会談しない意向だと語りました。ネタニヤフ氏の訪米は3月初めに予定されています。

 他方、オバマ氏に接触しないまま招請を受けたネタニヤフ首相についても、オバマ氏の側近が露骨な不快感を表明したと報道されています。

 核問題をめぐるイランと国連安保理常任理事国(米英仏中ロ)にドイツを加えた6カ国による協議は、昨年2度延長。核兵器開発につながるウラン濃縮を厳しく制限しようとする6カ国側と核の平和利用の一環として濃縮活動を認めるよう主張するイランとの対立が続いており、今年6月末が期限となっています。対イランで超タカ派のネタニヤフ首相が訪米すれば、交渉全体への悪影響が懸念されます。

 米上下両院は共和党が多数のもと、対イラン追加制裁法案の可決に積極的です。オバマ氏は「いま議会が新たに制裁法案を通せば外交を失敗に終わらせる」(一般教書演説)とけん制しています。

 米英仏の各外相と欧州連合(EU)のモゲリーニ外交安全保障上級代表(外相)は21日、米紙ワシントン・ポスト(電子版)に「イランとの外交にチャンスを」と題する連名の寄稿で、新たな制裁は「これまでの制裁を効果的にしてきた国際的な連携を壊す」と指摘し、米議会に自制を求めました。

 米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)も23日、社説で「米国の国益を害したとしても、オバマ氏の成功を妨害しようとしている」と、ベイナー氏や共和党を批判。ネタニヤフ首相にも、「(イスラエルの安全保障に貢献してきた)米国大統領に無礼をはたらくことがイスラエルにとってどんな得になるのか」と苦言を呈しました。


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