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2015年1月12日(月)

仏銃撃事件

議論呼ぶシャルリー・エブド紙の論調

イスラム教敵視に各国から懸念も

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 「私はシャルリー」―パリで7日起きた風刺週刊紙シャルリー・エブド編集部の銃撃事件に対し、犠牲者への追悼とテロを許さないという気持ちを込めて広がったスローガンです。しかしテロを非難し、表現の自由を擁護しながらも、同紙の「論調」にはさまざまな議論があります。

 仏週刊紙ル・モンド・ディプロマティークのアラン・グレシュ副編集長は、中東の衛星テレビ局アルジャジーラの英文サイトに寄稿。シャルリー・エブド紙について、1969年の創刊当時は「政治的には極左で無政府主義的な傾向を持っていた」と指摘します。

 2000年に編集長がフィリップ・バル氏に交代して、同紙は変わります。06年のイスラエルによるレバノン侵攻に支持を表明。反イスラムのキャンペーンをはり、デンマークで出版されてイスラム教徒の抗議を招いたムハンマドの風刺画を転載しました。バル編集長は06年3月、「世界は全体主義的性格を帯びた新たなグローバルな脅威に直面している―それはイスラム主義だ」などとする共同声明に加わったといいます。

 グレシュ氏は今回の事件が「イスラム教への恐怖」をあおり、イスラム教徒を「内なる敵」とみなす風潮を強める可能性を懸念します。それでも表現の自由を守りぬく重要性を強調。「アラブの春」で民主化運動が高揚した結果、国際テロ組織アルカイダの影響力が弱まった例を挙げています。

 マレーシアの国営ベルナマ通信によると、同国のマハティール元首相は8日、「イスラム教徒を傷つけると知っていて、預言者ムハンマドを愚弄(ぐろう)する必要があるのか」「われわれは彼らの宗教を尊重する。彼らもわれわれの宗教を尊重しなければならない」と語りました。

 スーダン出身の政治風刺漫画家カリド・アイバフ氏はアルジャジーラのウェブサイトで、シャルリー・エブド紙の編集について「しばしば人を傷つけ、人種差別的だと思えた」と指摘します。

 それでも「風刺画家たちへの攻撃を非難」し、「表現の自由を擁護し続ける」と表明。表現の自由を「亀裂を広げるのではなく、狭めるために」使ってほしいと強調しました。

 米紙ニューヨーク・タイムズのコラムニスト、デービッド・ブルックス氏は8日付コラム「私はシャルリー・エブドではない」で、「われわれのほとんどは、同紙が得意としていた意図的に他者の感情を害する類のユーモアは使っていない」と述べました。

 ニューヨーク・タイムズ紙は多くの米メディアと同様、問題となったシャルリー・エブド紙のイラストを転載していません。このことについて「読者、とくにイスラム教徒の読者の感情を第一に考えなければならなかったからだ」とのディーン・バケット編集長のコメントを紹介しています。

 (伊藤寿庸)


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