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2015年1月10日(土)

社会保障制度審議会部会で改定案

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 厚生労働省は9日に開いた社会保障制度審議会の三つの部会に、医療保険、介護保険、生活保護制度の見直し案を示しました。


医療保険

負担増・給付減ズラリ

 医療保険部会で示した「制度改革」骨子は、「持続可能な制度構築」を口実に負担増や給付減メニューが並んでいます。「結論ありきの進め方だ」(連合)との意見が出ました。

 市町村運営の国民健康保険は18年度から都道府県に移すことを明記。各市町村に分担金や収納目標を課して、保険料引き上げや徴収強化、医療費削減を図る狙いです。

 国保財政安定化のため2017年度までに3400億円を投入。財源は消費税から1700億円を充てるほか、高齢者医療に対する支援金で、大企業の健康保険組合と公務員共済の負担を増やすことで浮いた国費から回します。委員から「国費のつけかえでしかない」と国の責任を求める意見が相次ぎました。

 高すぎる後期高齢者医療保険料を軽減するため設けられている「特例軽減」を17年度までに廃止。865万人にのぼる低所得者に2〜10倍の値上げを押し付け、深刻な受診抑制をもたらす危険なものです。

 紹介状なしで500床以上の大病院などを受診するさいは、5000円〜1万円の定額負担を導入して、受診を抑制します。入院給食の自己負担についても、1食260円から2倍近い460円に引き上げる方向を示しました。高齢者から現役世代まで“老いも若きも負担増・給付減”となっています。

 保険のきかない医療を拡大する「患者申し出療養」を新たに導入。お金のあるものしか受けられない医療が増え、国民皆保険を空洞化させるものです。

 中小企業でつくる協会けんぽや、同業者でつくる国保組合への補助金削減については、11日の財務・厚労の大臣折衝で決めるとしています。

介護報酬

「施設から在宅へ」鮮明

 介護報酬の改定に関する審議報告(介護給付費分科会)は、特別養護老人ホーム(特養)報酬引き下げなど、「施設から在宅」へ高齢者を押し流し、安上がりの介護体制をつくる方向を鮮明にしています。

 特養は、営利の中小企業と比べて「収支差が高い」として基本報酬を引き下げ。需要が多いデイサービスも、半数を占める小規模型事業所(月あたり利用者が300人以下)の報酬引き下げで締め付けます。

 「特養」相部屋利用者には新たに部屋代として月1万5000円程度を徴収。水光熱費も値上げし、高齢者が締め出されかねません。

 「在宅」に押し流した高齢者の支援として、24時間対応の訪問介護看護を増やし、夜間の電話対応の人員基準緩和などを行います。人員不足を基準緩和で対応するもので、地域格差を招くなど在宅サービス拡充につながる保証はありません。

 一方、有料老人ホームなどに「認知症専門ケア加算」を新設するなど、認知症や中重度の要介護者への対応に重点配分します。しかし、認知症も含めた要支援者向け通所介護、通所リハビリテーションの報酬は下げるなど総額では抑制しようとしています。

 人手不足解消のため介護職員の処遇改善加算を上乗せします。しかし、「特養」などの基本報酬引き下げは介護労働者の処遇後退につながるものです。

 同分科会の委員からは「基本報酬の削減により、赤字施設では加算の効果が失われ賃金水準が低下する」(全国老人福祉施設協議会)と批判の声があがりました。

 介護報酬全体の改定率は2015年度予算編成で決まり、それを受けて2月ごろに各サービス単価が決定されます。

生活保護

住宅、冬季加算削減に道

 生活保護基準部会の報告書は、実施中の生活扶助費削減に続いて、「住宅扶助」と「冬季加算」の削減に道を開く内容です。

 報告書は、住宅扶助基準に「住宅の質に応じた上限設定がない」ことによって、劣悪な住宅で住宅扶助の特別基準で家賃設定する「貧困ビジネス」を招くとして、「床面積に応じた支給などの措置」にする必要があると指摘。新たな規制をつくるなどして、住宅扶助引き下げへ導こうとしています。

 厚労省調査で、近隣家賃と比べて明らかに高額な家賃は「0・6%」しかなく、「不正防止」を口実に住宅扶助を切り下げることはできないものです。

 報告書は、生活保護利用者の居住実態が劣悪で、今の扶助基準で借りられる「最低居住面積水準」を満たす住居は14・8%(全国平均)しかないと認めています。

 扶助基準が引き下げられることになれば、転居を迫られる世帯が出てきます。委員からは「(住宅契約)更新のたびに住み続けられないのではないかという不安が付きまとうことがあってはならない」との指摘が出ました。

 冬季加算では、現在の金額で暖房費などを賄えるのかどうかの検証はなく、低所得者の光熱費と比べて高いというだけで引き下げ方向を打ち出しました。

 委員からは「これらは必需費目であり、相対的には決められないことが今回の議論でも確認された」との意見も出ました。

 母子加算の削減については、今回の報告書には「慎重に検討すべきとの意見が多かった」ことから見送ったとしましたが、「今後も議論を重ねていく必要がある」と明記されました。


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