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2014年12月30日(火)

リビア政治対立深刻

戦闘 石油施設に被害

「イスラム国」も進出

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 【カイロ=小泉大介】北大西洋条約機構(NATO)軍の介入によるカダフィ独裁体制崩壊から3年余が経過したリビアの情勢が混迷を極めています。世俗派系とイスラム系を軸とした武装勢力同士の戦闘で各地の石油施設に甚大な被害が波及。イラクとシリアを拠点とするイスラム過激組織「イスラム国」も進出し、第2の「シリア内戦」に陥る可能性が指摘される状況となっています。


地図:リビア

 リビアでは今年6月の選挙を受け、世俗・リベラル派が中心の暫定議会が発足しました。ところが、これに旧制憲議会で多数派だったイスラム系勢力が激しく反発。治安上の理由からエジプト国境に近いトブルクに拠点を置く暫定議会・政府に対し、イスラム系勢力は8月に首都トリポリで、解散したはずの制憲議会の「復活」と独自政府の樹立を宣言しました。

 政治対立と同時進行で武装勢力による戦闘も激化しています。リビア最大の石油輸出拠点であるシドラでは12月25日以降、イスラム系武装勢力によるロケット弾攻撃が相次ぎ、これまでに19ある石油貯蔵タンクのうち7基が破壊され炎上しました。消火作業もままならない「トブルク政府」はイタリア政府に支援を要請しましたが、戦闘が停止しない限り不可能だと回答されました。

 リビアの石油関係者によると、攻撃で同国の石油生産は従来の半分以下に落ち込んでいます。国連リビア支援団(UNSMIL)は27日の声明で、「リビアの石油は国民のものであり、国の経済にとっての命綱だ」と指摘し、武装勢力の攻撃を厳しく非難しました。

 一方、トリポリでは27日、警察の建物前で自動車爆弾攻撃が発生し、「イスラム国」が犯行声明を出しました。「イスラム国」をめぐっては、米アフリカ軍司令官が3日、リビアで施設をつくりメンバー数百人の戦闘訓練を行っているとの見方を明らかにしていました。今後、自爆攻撃が拡大することが懸念されています。

 「トブルク政府」のダイリ外相も24日にロイター通信に対し、「もしわれわれがいますぐ危機打開のための正しい方策を取らなければ、シリアで起きていることを繰り返すことになりかねない」と述べ、危機感をあらわにしました。


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