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2014年12月29日(月)

秘密保護法動き出す

行政情報をベールに隠す

廃止求め各地で運動

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 今月10日に施行された秘密保護法が、文字通り動き出しています。(中祖寅一)


秘密の指定

 法施行を受けて国家安全保障会議(日本版NSC)や外務省、防衛省などが、国民の目の届かなくなる「特定秘密」への指定を開始しています。

 秘密保護法は、行政機関が保有する情報のなかから、防衛、外交、特定有害活動、テロに関わる事項で「その漏えいが我が国の安全保障に著しい支障を与える」ものについて、行政機関の長(各省大臣など)が「秘密」と指定します。指定権限を付与された19の行政機関のうち10機関で27日までに400事項が秘密指定されました。

 こうして多くの行政情報が「秘密」としてベールの向こう側に隠されつつあります。

 秘密に指定された情報を漏えいした公務員は最高で懲役10年の重罰に。それを知ろうとして働きかけた国民やマスメディア関係者は5年以下の懲役に処せられます。こうして国民の目、耳、口をふさぐ悪法の強行で民主主義を締めつけていくことになります。

適性評価制

 秘密保護法の特徴は、秘密を漏えいする個別の行為を処罰するだけでなく、あらかじめ秘密を取り扱うことのできる人の範囲を限定する大規模なシステムを導入していることです。それが適性評価制度です。

 特定秘密を保有、取り扱う公務員や、取り扱い適合事業者の従業者などが評価の対象で、民間人も広く対象となります。適性評価によって、犯罪歴、精神疾患や飲酒の節度、信用状態などが調査項目とされ、さらに親族関係や交友関係、所属団体などのプライバシーが全面的に調査されるおそれがあります。

 これは、アメリカの制度をまねたもので、アメリカでは500万人以上が調査対象とされているといいます。

 秘密の指定とともに、適性評価が大規模に進行します。

情報監視審

 秘密保護法に対応して、国会の衆参両院には情報監視審査会が設置されました。秘密指定の運用状況を審査するとされますが、会議も議事録も非公開です。会議は、秘密保護の特殊な措置=電波の遮断、盗聴防止、入退室の制限などを講じた部屋で行うとされ、国会内の一室でその工事が進んでいます。各省でも秘密保護のための防護措置が進められます。

報道に萎縮

 秘密の漏えいには重い刑事罰が科されますが、漏えいを事前に抑止することを重視して早期に刑事介入する法の仕組みになっています。「教唆」は、唆(そそのか)された公務員が「その気」にならなくても処罰(独立教唆)し、扇動という漠然としたあおり行為や、公務員同士の計画=共謀や、公務員とメディア関係者の共謀までが広く処罰されます。

 さらに、秘密に近づこうとする行為を広く処罰しようとすると、市民やメディアに対する日常的監視、盗聴やスパイなどの密行性の高い捜査が合法化されることになります。それが動き出すと、言論や、報道活動全体に重大な萎縮をもたらす危険が強まります。

軍事強化へ

 一部報道では、日米韓3カ国で北朝鮮の核・ミサイルへの対処での防衛機密情報の共有についての協定締結の動きも出ているとされます。秘密保護と不可分に軍事強化が進みだすことが、本質的な問題であることを示しています。こうした民主主義を根底からおびやかす悪法のため、施行後も廃止を求める運動が各地でとりくまれています。


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