2014年12月9日(火)
イスラエルの著名作家ら800人
パレスチナの国家承認要請
欧州各国の議会に送付
【カイロ=小泉大介】イスラエルのメディアによると、国際的に著名な作家を含む同国の文化人や政治家ら800人が署名したパレスチナ国家承認を要請した書簡が7日、欧州各国の議会に送付されました。欧州では10月以降、英仏などの議会がパレスチナを国家として認めるよう自国政府に求める決議を相次ぎ採択していますが、その流れはイスラエル国内の動きも含めてさらに広がろうとしています。
今回、書簡に署名したイスラエルの著名人は、いずれも過去にノーベル文学賞候補に名前が上がったことのあるアモス・オズ、デイビッド・グロスマン、アブラハム・B・イェホシュアの各氏らで、近いうちに決議案の採決が見込まれるベルギーやデンマーク、アイルランド(上院ではすでに採択済み)の議会に送られました。
書簡は、「イスラエル国家の存続と安全保障は、パレスチナ国家と共存できるかどうかにかかっている。イスラエルはパレスチナ国家を認め、パレスチナはイスラエル国家を認めなければならない」と強調。「(欧州各国議会の決議採択イニシアチブは)和平の見通しを明確にするものであり、イスラエル人とパレスチナ人の双方に紛争解決に向けた勇気を与えるものである」としています。
イスラエル政府はこの間の欧州各国議会の決議採択について、パレスチナ国家は当事者による交渉を通じてのみ樹立される≠ネどと批判しています。
しかし、昨年7月に3年ぶりに再開したイスラエルとパレスチナとの和平交渉は、イスラエル側が交渉期間中も占領地ヨルダン川西岸と東エルサレムでの入植活動を大規模に推進したため、今年4月に「決裂」状態のまま終了しました。同国政府は現在も、国際法違反である入植地の建設を強行しつづける姿勢を鮮明にしています。
イスラエルでは来年3月に解散総選挙が実施されることがほぼ確実となっており、今後、中東和平問題で各党が何を訴え、世論がどのような動きを見せるか注目されます。