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2014年12月7日(日)

主張

戦争する国づくり

「法案化ノー」示す重要な機会

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 安倍晋三首相が総選挙の論戦で、集団的自衛権行使を容認した「閣議決定」を具体化する関連法案を来年の通常国会に提出する考えを繰り返し表明していることは重大です。首相は、日本への石油の輸入に支障が出るという理由で、停戦合意発効前でもペルシャ湾に敷設された機雷を自衛隊が除去する可能性を認めています。集団的自衛権の行使が無限定になる危険性はますます浮き彫りになっており、「海外で戦争する国」づくりを進める安倍政権の暴走にノーの声を突きつけることが重要です。

無限定な拡大が狙い

 歴代政府はこれまで、憲法9条の下で許される自衛権発動としての武力の行使は、(1)日本に対する武力攻撃が発生した(2)これを排除するために他の適当な手段がない(3)必要最小限度の実力行使にとどまる―という3要件に該当する場合に限るとしてきました。

 この自衛権発動の“縛り”を乱暴に踏み破ったのが、7月1日の「閣議決定」です。それまでの3要件を塗り替え、「新3要件」として、(1)日本に対する武力攻撃が発生した場合だけでなく、日本と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより日本の存立が脅かされ、国民の生命、自由、幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある(2)これを排除し、日本の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がない(3)必要最小限度の実力行使にとどまる―ことにしたのです。

 政府が「国民の権利が根底から覆される明白な危険」があると判断すれば、他国に対する武力攻撃を「排除」するための武力行使を認めるものです。首相は「あくまで国民を守るための自衛の措置」だと限定的な容認であるかのようにごまかしますが、歴代政府が憲法上許されないとしてきた集団的自衛権の行使容認に踏み込む重大な転換そのものです。

 紛争でペルシャ湾のホルムズ海峡に機雷が敷設されれば石油の供給不足で国民生活に影響が出て「新3要件」に当たるかのような想定自体が恣(し)意(い)的です。エネルギー問題の専門家は、ホルムズ海峡は広大で海流も速いことなどから機雷による封鎖は「現実的には起こりそうにない」とし、「『機雷によるホルムズ海峡封鎖』によって『我が国の国民の権利を根底から覆される明白な危険がある』というのは、国民を誤解させ、いたずらに不安に陥らせるだけ」と指摘しています(岩瀬昇氏『石油の「埋蔵量」は誰が決めるのか?』)。

 日本には緊急時対応の石油備蓄もあり、それでも足りないとなれば具体的な確保策が必要ですが、その手段が自衛隊派兵しかないように言うのはあまりにも乱暴です。機雷除去を口実に、海外での武力行使を無限定に拡大する狙いであるのは明白です。

一切の具体化やめよ

 国際法上の停戦合意が発効する前に自衛隊が機雷を除去するのは紛れもない武力行使であり、戦争行為です。国民の不安をあおり、これほど危険な道に突き進むことは許されません。

 日本共産党は総選挙で、「海外で戦争する国」づくりを許さず、憲法9条の精神に立った外交戦略で平和と安定を築くことを訴えています。憲法違反の「閣議決定」の撤回、一切の具体化作業中止のため日本共産党の躍進が必要です。


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