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2014年11月26日(水)

米国防長官が辞任表明

対「イスラム国」意見対立か

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 【ワシントン=島田峰隆】オバマ米大統領は24日、ホワイトハウスで記者会見し、ヘーゲル国防長官が辞任すると発表しました。米メディアによると、イラクやシリアで勢力を広げる過激組織「イスラム国」への対応などをめぐる意見対立が背景にあるとされます。

 オバマ氏は「先月ヘーゲル氏が私のところへ相談に訪れた。彼は任務を終えるのに今が適切な時期だと判断した」と述べました。会見に同席したヘーゲル氏は「きょう辞表を提出した」と語りました。

 米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は、米当局者の話として、イスラム国への対応でオバマ大統領はヘーゲル氏とは違う力量を持った人材が必要だと判断した結果だと伝えました。

 ヘーゲル氏に関しては、オバマ氏の対シリア政策を批判するメモを政権幹部に送ったとする報道も出ていました。同氏は後任が決まるまで在職の予定。議会筋は、後任人事が上院で承認されるのは来年1月以降になるとの見方を示しています。

 ヘーゲル氏はオバマ政権の安全保障チームで唯一の共和党員で2013年2月に国防長官に就任。アジア太平洋へのリバランス(再配置)政策やアフガニスタンからの米軍撤退、緊縮財政の中での国防体制の見直しなどを進めてきました。

解説

背景に政権の政策転換

 辞任を表明したヘーゲル米国防長官は2013年1月、ゲーツ、パネッタ両氏に続く同政権3人目の国防長官として就任しました。

 ヘーゲル氏は1997年1月から2期12年、共和党の上院議員を務めました。その間、07年1月にブッシュ前政権がイラクへの米軍増派を決めた際には反対を表明。イランの核問題も外交的な解決を求めるなど、同政権の軍事路線には党派を超えて批判的でした。

 国防長官への就任も、オバマ政権が公約したアフガニスタンからの米軍の撤退、戦費負担で膨れあがった国防費の抑制に取り組むことが期待されてのことでした。

 ところがオバマ政権は、過激組織「イスラム国」に対する空爆に踏み切り、地上部隊派遣も取りざたされるようになっています。アフガニスタンでも、撤退後に残る米軍部隊に反政府勢力タリバンとの戦闘に直接関与できるよう命じるなど、それまでの政策を転換させています。

 ヘーゲル氏はことに、対「イスラム国」政策をめぐって、ライス米大統領補佐官(国家安全保障担当)と意見を異にしていたと伝えられています。

 先の中間選挙で連邦議会が上下両院とも野党・共和党が多数派となり、オバマ政権に対する“弱腰”批判が強まることは必至。ホワイトハウスには、国家安全保障チームの陣容を変えることで乗り切ろうとの思惑も透けて見えます。

 (山崎伸治)


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