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2014年11月7日(金)

2014焦点・論点

「慰安婦」制度の強制性は明らか 安倍政権の「歴史修正」 米にも危険

米スタンフォード大学ショレンスタイン・アジア太平洋研究センター副所長 ダニエル・スナイダーさん

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 米スタンフォード大学のショレンスタイン・アジア太平洋研究センター副所長で、米国のアジア外交を専門にしているダニエル・スナイダー氏に、朝日新聞へのバッシングを行うメディアや安倍政権、日本軍「慰安婦」制度の強制性を認めない同政権を、米国と国際社会がどうみているのか聞きました。(聞き手、写真 ワシントン=洞口昇幸)


写真

(写真) ダニエル・スナイダー 専門は米国のアジア外交・安保政策、日本と韓国の外交政策。クリスチャン・サイエンス・モニター紙の東京特派員や米紙の編集者などを経て現職。北東アジア情勢や、米国の北東アジア政策に関する著作で知られています。

 私は日本の右派メディアや自民党安倍政権の朝日新聞へのバッシングについて、とても心配しています。政権批判者・メディアを沈黙させる企てです。民主主義国家において健全ではありません。

 元朝日新聞記者に脅迫状が送られるなどは、あからさまなテロ手段で言論の自由を抑圧するものです。日本の学者らから「テロリズムの雰囲気だ」と聞いています。

 安倍政権は、朝日新聞の日本軍「慰安婦」制度の報道が、国際社会での日本のイメージを貶(おとし)めたと主張し、同制度の強制性を否定しています。しかし、私の知る戦時史を研究する学者のほとんどが、「慰安婦」にされた女性らが強制的に集められたことに疑問を持っていません。

強制的で威圧的

 学者らはもともと、少なくない女性が「慰安婦」に“志願”したことを理解しています。しかし、女性らが日本に植民地支配されていた朝鮮半島や台湾、制圧されていた中国の一部地域などに住んでいたら、女性らと日本軍当局の関係性は強制的・威圧的です。

 警察も斡(あっ)旋(せん)業者もすべて日本軍「慰安婦」制度の一部でした。この制度は日本軍によって組織された本質的に強制的・威圧的なものでした。

 韓国が国民の言論が抑えられていた軍政から民主化し、1991年に元「慰安婦」の女性が名乗り出て、証言し始め、国際社会の関心や理解が高まりました。83年以降に朝日新聞などが報じた「慰安婦」に関係する「吉田証言」の役割は小さく、重要ではありません。

 日本政府が国連人権委員会の報告書の訂正を求めることは、日本の評判を悪くし、良いことはありません。

 安倍首相は、95年の村山首相談話の重要な部分に同意していません。重要な部分とは、日本の侵略戦争を認めたこと、植民地支配について謝罪したことです。安倍首相は談話を否定しないと言いますが、侵略や謝罪といった言葉を決して用いません。

 これはきわめて重要です。なぜなら戦犯を裁いた東京裁判の中心的な問題だからです。東京裁判の判決は、「日本は侵略戦争を遂行したのか」を基礎としています。そして答えはイエスです。

米も歴史的責任

 私は安倍首相のような人々を、保守的歴史修正主義者と呼びます。日本の戦後秩序、民主主義、教育改革、現行憲法を支持しない保守主義者のことです。

 だから第1次安倍内閣では教育基本法を改定し、現在、憲法改定を求めています。彼らは東京裁判の判決と、日本が判決を認めて国際社会に復帰することになったサンフランシスコ講和条約に反対です。反中国、反韓国で、いくつかの部分で反米です。戦後につくられた秩序に反対だからです。

 安倍政権について米政府が心配するのは、米国が現在の秩序を好み、変えたくないからです。一方で、日本が安全保障や東南アジア諸国への経済援助で、より積極的な役割を果たすことを米政府は評価すると私は考えます。

 問題は、それらが保守的歴史修正主義と同時に起きていること。危険な組み合わせです。保守的歴史修正主義は、米国の北東アジアの秩序の管理をとても難しくしています。(米国は)日本に近隣諸国と対立してほしくないのです。

 歴史問題の根深さについて、米国にも歴史的な責任があります。戦後、一定の段階で米政府は安倍首相らにつながる安倍氏の祖父・岸信介ら保守主義者を政界に復帰させました。冷戦下で日本がソ連の一部となることを米国は恐れたからです。

地域安保機構を

 過去は清算されていません。歴史問題の解決と和解に向けて尽力し、地域内の衝突の危険性を低くすることが求められています。日中間の武力衝突を私は最も心配しています。

 米政府は戦後以降、北東アジアで、2国間で軍事同盟の関係を結ぶシステムをとっています。それではもはや中国の台頭という直面する課題の対処に、十分ではありません。地域主義的な安全保障のシステムの構築を考える必要があります。

 現実には北東アジアを含む地域的な機構の初期的なものがあります。アジア太平洋経済協力会議(APEC)、東アジアサミット(EAS)、日中韓政策対話、東南アジア諸国連合(ASEAN)プラス3(日中韓)などです。同時並行・重なり合う既存の諸システムがあります。これらは米国にとっても良いことで、米国がすべてを管理できないし、管理すべきではありません。

 最も重要なことは、日中韓・地域諸国が協力、共同する術や、密に連絡を取り合うことを学ぶことです。