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2014年10月30日(木)

訪問米軍地位協定

比 見直し議論活発化

米兵が殺人事件 怒り背景に

「身柄拘束規定」求める声

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 【ハノイ=松本眞志】フィリピンでは、最近の米軍兵士による殺人事件への国民の怒りを背景に、1998年締結の訪問米軍地位協定(VFA)の見直し論議が活発化しています。


 特に問題となっているのが、フィリピン側の司法手続きが終了するまで容疑者の米兵の身柄は米側が拘束するという規定。米側に有利になっています。フィリピンでは、締結当初からこの規定が主権を侵害しているとの根強い批判があります。

 11日に遺体で発見されたフィリピン人、ジェニファー・ロードさん(26)を殺害した容疑で起訴されている米海兵隊員のジョセフ・スコット・ペンバートン1等兵の身柄の問題がメディアで大きく取り上げられています。現在、同容疑者は、比国軍本部のあるアギナルド基地内で米軍の監視下に置かれており、比検察による予備調査に本人は一切出席していません。

 ミリアム・サンティアゴ上院外交委員長は27日、アクバヤン(市民行動党)のウォルデン・ベロ下院議員と共同で、地位協定の廃棄を求める上下院合同決議案を提出しました。一方の政府が通告すれば、180日後に協定が廃棄されるというVFA第9条が利用できると指摘。デルロサリオ外相に対し文書で廃棄通告を行うよう求めました。

 アテネオ大学のベニト・リム教授も、「問題解決のために米軍兵士の身柄拘束規定を含む地位協定の見直しが必要だ」と述べました。

 これに対し、アキノ比大統領は、「地位協定」は事件以前から継続的に見直しが行われているが、容疑者拘束に関する議論は「時期尚早」との立場です。ガズミン国防相も28日、「VFAは全体的な国防戦略の一部であって、廃棄すればわが国が目指す信頼性ある最小限抑止体制に否定的影響を及ぼす」と主張しました。

 在マニラ米大使館は、フィリピン国内法でペンバートン容疑者の裁判には協力するとしながら、「地位協定」を盾に同容疑者を米国の監視下に置く権利を行使するとしています。

 ゴールドバーグ駐マニラ米国大使は、「地位協定」の見直しについて、「米軍容疑者の身柄拘束問題と結びつけるべきではない」と強調。「フィリピン側はいつでも追加事項を米側と協議できるが、地位協定の再交渉あるいは廃棄を求めるのは行き過ぎだ」と、VFA見直し論の広がりに強い警戒感を示しています。


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