2014年10月24日(金)
きょうの潮流
「子どもと笑顔になろう」と題した講演会に参加しました。講師の薗部容子さんは3人の子どもを日本、イギリス、フランスの3カ国で出産・子育てした経験の持ち主です▼日本生まれの長女は低体重でした。「お母さんなんだから頑張って」という言葉に自分を鼓舞し、必死に頑張っても、弱音を吐くと「母親としての自覚が足りない」と言われる日々…。自信を失っていきました▼そんな思いを変えてくれたのが英仏での体験でした。英国では、床に落ちたバナナを母親が拾って赤ちゃんに食べさせるのを目撃したり、幼稚園のお弁当が、ポテトチップスやバナナを入れただけのズボラぶりだったり。それまでの「常識」が大きく覆されました▼「イギリスやフランス流が全部いいとは思わない。でも、母親はこうあるべきという思いにしばられず、もっと肩の力を抜きませんか」。薗部さんのメッセージに励まされました▼印象的だったのが英仏では「子育ては大変な仕事。親を本気で応援しよう」という雰囲気が社会全体にあり、それを支える制度も充実しているという話です。フランスには児童手当や家族給付が何種類もあり、経済的にも安心だったと言います▼「車内のベビーカーが邪魔」と鉄道会社に苦情が寄せられ、保育園や公園が「迷惑施設」とも言われる日本。仕事と育児の両立は大変で、妊娠・出産による解雇も横行しています。親を追いつめず、お互いに配慮し、社会全体で子どもをはぐくむ環境を築いていきたいものです。