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2014年10月23日(木)

主張

「後期」保険料上げ

「うば捨て」の怒りを忘れたか

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 75歳以上の高齢者が加入する後期高齢者医療制度で、所得の低い人の保険料軽減措置を段階的になくす方針を厚生労働省が打ち出しました。負担増になる高齢者は約865万人、加入者の半数以上です。保険料負担が3倍にもなる世帯も生まれるなど2008年の制度開始以来、最大規模の改悪案です。年金は減らされる一方なのに医療・介護などの負担はふくらむ―。長生きをますますつらくする改悪は許されません。

過酷な選択迫る仕組み

 後期高齢者医療制度は、小泉純一郎政権の社会保障破壊「構造改革」路線の柱として06年に導入が決められ、08年に実施が強行されました。75歳以上の人を、それまで加入していた公的医療保険から切り離し「後期」と名づけた別だての医療制度に囲い込んだのです。年齢で医療を「差別」する医療制度は世界でも異例のものです。

 制度が始まり、年金からの保険料天引きなどが実施されるや、「うば捨て山だ」などと国民の怒りが爆発しました。あわてた自民・公明政権は保険料軽減措置などをおこない「沈静化」を狙いましたが、国民には通用せず09年の自公政権退陣につながったのです。

 厚労省が今回廃止を狙う軽減措置は、このときのものです。低所得者保険料の「7割軽減」を最大「9割軽減」に広げることなどの措置で、政府・与党は高齢者に配慮した“改善の象徴”としてさかんに宣伝していたはずです。いまごろになって、はしごを外すようなやり方で負担増を迫ることに道理はありません。「ほとぼりがさめた」との発想だとしたら国民の痛みがまったく分かっていません。

 後期高齢者医療制度のもともとの狙いは、公的医療費の抑制・圧縮です。当時の厚労省幹部が“医療費が際限なく上がる痛みを、後期高齢者が自らの痛みで感じてもらう”と公言したように、75歳以上の人口と医療費が増えれば増えるほど、保険料負担にはねかえる仕組みになっています。「負担増か、医療が必要でも我慢するか」という二者択一を高齢者に迫る―これほど過酷な仕打ちはありません。

 制度発足から6年、弊害はいよいよ浮き彫りになっています。2年ごとの保険料改定のたびに、保険料(全国平均)は引き上げを繰り返しています。保険料を払えず滞納した75歳以上の人は約25万人にのぼり、正規の保険証でない、有効期間が短い短期保険証を交付された人は2万3千人に達する事態をもたらしています。年金が少なく天引き対象にならない低所得の高齢者がほとんどです。

 保険料払いが困難な高齢者がこれほど広がっているのに、軽減措置廃止という負担増を求めることは、生活苦に追い打ちをかけることにほかなりません。問題だらけの「後期」制度を廃止し、元の老人保健制度に戻すべきです。

くらし守る共同を広げ

 今回の軽減措置廃止による国費削減額は年約800億円で、法人税減税1%分に必要な国費5000億円の6分の1程度です。高齢者に冷たく大企業に手厚い安倍晋三政権の姿勢が問われます。

 安倍政権は、消費税再増税とあわせ医療・介護の負担増、年金削減など全世代にわたる社会保障の破壊を本格化させています。安倍政権の暴走を阻む国民的共同を広げることが急がれます。


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