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2014年10月10日(金)

主張

ノーベル物理学賞

独創的成果は地道な研究から

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 今年のノーベル賞が次々発表され、物理学賞は、青色発光ダイオード(LED)開発に貢献した赤崎勇名城大学教授、天野浩名古屋大学教授、中村修二カリフォルニア大学教授への授与が決まりました。青色LEDは、低電力の照明、信号機やディスプレーのバックライトなど生活のなかで広く使われています。「半導体研究の革命」といわれる成果であり、受賞は多くの人が待ち望んできた朗報です。

流行にとらわれぬ姿勢で

 LEDとは、電気的にプラスとマイナスの半導体を接合して電圧を加え、電子がもつエネルギーを単色光に変換するもので、その言葉通り「光る半導体」です。1962年に赤色LEDが発明され、赤、青、緑の「光の三原色」がそろうことで白色光の実現が期待されましたが、青色は困難をともない「20世紀中は実現不可能」といわれていました。

 今回の受賞は、青色LEDを窒化ガリウムの単結晶の作成とその利用によって実現し、低電力で明るい白色光への実用化によって地球資源の節約に大きく貢献したことが評価されました。

 赤崎さんの著書によれば、40年前に“前人未到″であった青色LEDこそ自分の仕事だと決意し、窒化ガリウムの研究が少数派だったなかでも「成否は考えず」「我ひとり荒野(あれの)を行く」との思いで、試行錯誤を重ねたと言います。半導体の材料となる窒化ガリウムの単結晶をつくりだすまで12年の歳月をへています。さらに試行錯誤を重ね、その4年後にLEDから「目に沁(し)みいるようなコバルトブルーの光」が発せられたときは、「一生忘れることはない」感動だったとのべています。

 赤崎さんは、受賞の会見で「成否は考えず、やりたいことをあきらめずにやってきた」ことで道が開けたとのべました。若い研究者に対しても「はやりの研究にとらわれず、自分のやりたいこと、打ち込めることをやりなさい」とのメッセージを送りました。自らの研究人生に裏打ちされた言葉です。天野さんも「世の中の役に立つ」との一心で研究に没頭してきたと語っています。

 基礎研究から独創的な発明がうまれる原動力は、こうした研究者の愚直なまでの信念、執着心にほかなりません。すぐには成果がでないとわかっていても、粘り強く試行錯誤を重ねるなかで独創的な成果がうまれ、それが実用化にもつながっていく。このことを赤崎さんらの研究は教えています。

 安倍首相は、開会中の国会で「受賞を機に科学技術イノベーション政策をすすめる」とのべました。ところが、安倍政権がすすめているのは、こうした腰をすえた地道な研究への支援を強めるのではなく、目先の利益にとらわれた成果主義にたって、政府が経済成長につながるとみなした「はやりの研究」に集中投資するものです。

基礎研究の支援強化を

 すぐには成果がでない基礎研究への支援を軽視し、大学や研究機関の予算を削減しつづけ、非正規の研究者をふやしています。

 基礎研究が衰退すれば、イノベーションをうみだす土壌も枯れてしまい、長期的にみれば社会の大きな損失です。ノーベル賞受賞を機に、こうした流れを転換し、基礎研究支援を抜本的に強め、大学予算をふやすことが必要です。


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