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2014年9月10日(水)

医療・介護総合法

削減前提の切り捨て

厚労省の基本的方針 了承

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 厚生労働省は8日、医療・介護総合法にもとづく基本的方針を医療介護総合確保促進会議に示し、了承されました。医療・介護が必要でも「地域で生活を継続し、最期を迎える」として、施設から地域に押し出していく考えを強調。「給付と負担のバランスを図りつつ、制度の持続可能性を確保」としてサービス切り捨てと負担増をすすめていく姿勢を強調しています。

 基本的方向性では、「限りある資源の効率的かつ効果的な活用」などと“削減ありき”で進めていくことを明記。人材確保対策についても「多職種連携の推進」として“掛け持ち”をすすめるなど無責任な方向性しか打ち出していません。

 利用者について素案は「高齢者がサービスの受け手としてだけでなく、担い手として活躍」と“自立自助”を押し付けていました。最終案では「ボランティアとして活躍するなど地域の構成員として積極的な社会参加」と変えましたが、「限りある資源の効率的な利用」を求めるなど“自立自助”を強いる姿勢は変わっていません。

 一方で国の役割は、方針策定や新設する財政基金の支援だけに後退させ、サービス提供や体制整備は市町村に押し付けています。

 都道府県の医療計画と市町村の介護保険事業計画、都道府県の介護保険事業支援計画を2018年度から一体化させていくと提起。安上がりの体制づくりのため制度も対象者も違う計画をむりやり一体化させていく考えです。

 新設する基金の使途について、在宅医療整備、医療・介護人材の確保などとともに「病床削減」を提示。サービス切り捨てに使う逆立ちした考えを示しています。

解説

展望なき「自立・自助」

 厚労省が8日にまとめた医療・介護を総合的に確保するための基本的方針は、憲法にもとづいて国が国民に保障する責任を負っている社会保障制度から国民を締め出すものです。

 基本的方針は、医療・介護が必要になっても「地域で生活を継続し、地域で人生の最期を迎える」と明記しました。社会保障の徹底削減ありきで、患者・利用者を地域・自宅に押し込め、“医療・介護に頼るな”というのが本音です。

 しかも、国の役割は方針策定や支援にとどめて、サービス提供や体制づくりは自治体に押し付け、国民に対してはボランティアなどに参加してサービスの担い手となるよう求めました。基本的方針案を議論した医療介護総合確保促進会議でメンバーから、「都道府県や市町村への指導書のようだ。丸投げのような印象だ」と国の責任を投げ捨てる姿勢に苦言が呈されたのは当然です。

 基本的方針からは、医療・介護サービスが拡充され、安心して暮らし老いてゆく展望などまったく見えてきません。あるのは、国民からサービスを取りあげ、ひたすら「自立・自助」を求める冷たい姿勢だけです。しかも、消費税増税を財源として新たにつくる基金にいたっては、病床削減などさらなるサービスの切り捨てに使おうというのですから、社会保障のためなどという増税の看板は大ウソであることは隠しようがありません。(松田大地)


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