2014年9月8日(月)
しんぶん赤旗主催 第39期囲碁新人王戦
最後のチャンス どちらに
決勝三番勝負 11日開幕
第39期囲碁新人王戦(しんぶん赤旗主催)の決勝三番勝負が11日に名古屋市の日本棋院中部総本部で開幕します。今期は、志田達哉七段(23)と一力遼七段(17)という、どちらも優勝候補と目される顔ぶれ。両者とも七段に昇段して今期が新人王獲得のラストチャンスとなるだけに、熱いたたかいが期待されます。
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力を出し切って
昨年ベスト4だった志田七段。今期は、小野田拓弥二段、玉井伸三段、安達利昌三段、鈴木伸二四段を破って念願の決勝進出を果たしました。
中部総本部所属の実力者で若手のホープ。深い読みをベースに寄せ勝負にも、たたかいの碁でも、なんどもこなすと高い評価を受けています。
2012年29勝11敗、13年20勝17敗。今年はこれまで19勝7敗と好調で、8月には十段戦最終予選決勝で山下敬吾九段を破って本戦入りを決めています。
若手棋戦の若鯉戦で、2007年の第2回大会で優勝を果たし、10年の第5回では準優勝。11年の第2回おかげ杯でも準優勝しています。
昨年は賞金ランキングが六段で1位となり、今年1月七段に昇段しました。
志田七段は「とにかく自分の力を出し切りたい」と決勝への意気込みを語っています。
しだ・たつや 1990年12月6日生まれ。福井県出身。2006年入段。
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自分らしい碁に
一力七段は、橋本寛初段、堀本満成三段、許家元二段、村松大樹四段に勝って決勝に進出しました。
入段前から棋界で注目を集めた逸材です。
2012年は25勝14敗でしたが、13年は第8回若鯉戦と第4回おかげ杯でダブル優勝し棋道賞の新人賞を受賞しました。
成績も40勝7敗で今年1月には四段に昇段。3月には張栩九段をくだして史上最年少で棋聖戦リーグ入り(16歳9カ月)を果たし、一挙に七段に昇段しました。また第5回おかげ杯を連覇するとともに、若手世界一を決める第1回グロービス杯でも優勝。勝負強さを発揮しています。
一力七段は「新人王戦の進行中に七段に昇段して今期が最後になってしまったが、決勝進出を果たせてほっとしている。最後のチャンスなので、(対志田戦2連敗の)過去は気にせず、自分らしい碁を打って絶対にとりたい」と語りました。
いちりき・りょう 1997年6月10日生まれ。宮城県出身。宋光復九段門下。2010年夏期入段。
過去の対局は
志田・一力両者の対局はこれまでに2局あります。
12年の棋聖戦最終予選では志田五段が一力二段を白番3目半勝ちで破り、13年の桐山杯準決勝では志田六段が一力三段に対し、黒番半目勝ちをおさめています。(段位は対局当時)
1年以上前の対決ですが、ここまで志田2連勝。三番勝負の開幕局をどちらが制するか、注目されます。
■観戦記者の見どころは
歴史的三番勝負 立浪健一さん
決勝三番勝負の見どころを第1局の観戦記者、立浪健一さんに聞きました。
優勝候補と目される2人がすんなり勝ちあがってきた。それが今期新人王戦の印象である。
過去をひもとけば張栩―高尾紳路戦をはじめとして、この新人王戦では数多くの名棋士が名勝負を演じてきた。今期の三番勝負も歴史に名を残す対決になるだろう。
志田は中部のホープとして早くから注目されてきた。読みの深さと寄せの強さはすでに一流の評価がある。一力は日本囲碁界が長く待ち望んでいたワールドクラスの新鋭だ。先の国際棋戦(グロービス杯)の優勝は日本の若手のレベルアップを世界に示した。下馬評もほとんど互角。それだけに、実力とともに勝負運の強さも試される。優勝者は翌日から井山裕太六冠とタイトル戦をたたかってもおかしくない。今回の決勝はそういう勝負である。
日程
9月11日(木)午前10時〜
名古屋 日本棋院中部総本部
9月17日(水)午前10時〜
東京 日本棋院東京本院
9月25日(木)午前10時〜
名古屋 日本棋院中部総本部
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