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2014年9月5日(金)

大阪・泉南アスベスト国賠訴訟最高裁弁論 人生変えた苦しみ

原告ら「公正判断を」

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 アスベスト(石綿)による健康被害は、危険性を知りながら規制権限を行使せず、対策を怠った国に責任があるとして、大阪府南部・泉南地域にあった工場の元労働者や遺族ら88人が国に損害賠償を求めた大阪・泉南アスベスト国家賠償請求訴訟の上告審弁論が4日、最高裁第1小法廷(白木勇裁判長)で開かれました。


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(写真)入廷行進する大阪・泉南アスベスト国家賠償請求訴訟(1陣)の原告団・弁護団=4日、最高裁正門

 訴訟は第1陣と第2陣の2件。第1陣は一審大阪地裁が「国は規制権限を適切に行使しなかった」と初めて国の責任を認め、賠償を命じたのに対し、二審大阪高裁は「人命より経済発展が優先する」といわんばかりの不当判決。一方、第2陣は一、二審とも国の責任を認めました。

せきが一日中

 車いすで入廷した第1陣の原告男性(71)は、17歳から4年間、長時間残業もこなし、アスベストまみれで働いたと陳述。「せきが一日中出て、じっと座ってせきこみに耐える。死への不安は死ぬまで続く。人生を変えてしまった苦しみをどうしても直接、話を聞いてもらいたい」と訴えました。

 2009年に64歳で亡くなった夫の無念を涙ながらに語った女性(69)。32年間、アスベストの仕事に携わり、50歳から頻繁にせきこむようになり、年々ひどくなってきたと告発。「病院であと3カ月の命だと宣告されて、たった9日しか生きられなかった。原告の苦しみ、恐怖感、無念さをわかってもらい、公正な判断をお願いしたい」と陳述を結びました。

命奪った責任

 「国の責任が明らかになり、原告全員が救済されるとともに、これ以上苦しむ被害者が出ないことを強く望みます」と訴えたのは、2陣原告で原告団共同代表の山田哲也さん(47)。

 29年間、泉南市の三好石綿工業で働いた父親の英介さん(享年70歳)を11年前に悪性腹膜中皮腫により亡くしました。山田さんは、「私たちが国を相手にたたかってきた理由は一つです。自分の健康、家族の命がなぜ奪われなければならなかったのか、その責任はどこにあるのか、それを明らかにしたい、ただその思いです。尊い人の命や健康よりも、利益のほうが優先される社会など、過去も未来も決してあってはなりません」と切々とのべました。

 主任の村松昭夫弁護士は、「最高裁には証拠に裏付けられた揺るぎない事実認定を基礎にした法的判断を求めたい。(昨年末の)生命および健康の保護を何より尊重する2陣高裁判決は(06年5月の1陣提訴以来)7年半に及ぶ積み上げられた審理の集大成だ。1陣高裁判決は、行政指導による防じんマスクの着用率について証拠評価を誤るなど、致命的な証拠評価の誤りと事実誤認を犯している。この点を十分に踏まえた法的判断を求める」とのべました。

 弁論はこの日で終結し、判決期日は10月9日に指定されました。石綿の健康被害をめぐる国の責任について、最高裁が初めて判断を示します。

 裁判終了後、国会内で開かれた集会には、日本共産党の田村智子参院議員がかけつけ、激励しました。


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