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2014年8月26日(火)

リビア再び内戦状態

世俗派とイスラム系民兵

外国介入なら混乱激化

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 【カイロ=小泉大介】北大西洋条約機構(NATO)軍の介入によるカダフィ独裁体制崩壊から3年を迎えたリビアが、世俗派とイスラム系の民兵による戦闘で再び「内戦」状態に陥っています。世俗派中心の暫定議会などは国際社会の介入を求める声を強めていますが、そうなればさらなる混乱の激化は必至です。


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 イスラム系民兵組織の報道官は23日、首都トリポリの国際空港を制圧したと発表しました。同空港では7月中旬から民兵間の戦闘が続き、多数の死傷者が出るとともに、駐機場の航空機や管制塔が破壊されたため閉鎖に追い込まれていました。

 国際空港をめぐっては、18日と23日に、イスラム系民兵の拠点を狙ったとみられる“正体不明”の戦闘機による空爆まで行われました。イスラム系民兵組織はエジプトとアラブ首長国連邦(UAE)の仕業だと非難。一方、エジプトのシシ大統領は24日、「エジプト軍はリビアに存在しない」と関与を否定しました。

 首都や第2の都市ベンガジでの戦闘激化により、欧米をはじめとする各国は相次ぎ在リビア大使館を一時閉鎖しスタッフを退避させました。多くの外国人労働者も国外に脱出し、経済にも影響が出ています。

 混迷は政治も例外ではありません。6月の選挙で選ばれた暫定議会が今月4日に初招集されましたが、治安上の理由から首都でもベンガジでもなく、エジプト国境に近いトブルクで本会議を開催せざるを得ない状況となりました。しかも、世俗派が多数を占めたことに反発するイスラム系政党はこれをボイコット。自らが多数派だった以前の制憲議会を復活させるよう主張しています。

 この状況下、暫定議会は13日、「リビアの民間人を守るための国際社会の即時介入」を求める決議を採択しました。これに対し、大規模な反対デモが首都やベンガジで実施されました。

 リビアでは、NATO軍介入によるカダフィ体制崩壊過程で膨大な武器が国中にばらまかれました。これを手にした武装勢力や民兵組織がばっこしたことが、無政府状態ともいえる現在の危機をつくりだした原因となっています。

 トリポリ大学のモハメド・ハシミ教授は本紙の取材に対し、「NATOの介入がリビアに安定ではなく混沌(こんとん)をもたらしたことは厳然たる事実です。さらなる介入は暴力と流血の拡大の事態しか生み出しません」と強調。そして、「リビア政府や議会だけの力で危機を打開することは不可能です。政治家だけでなく、知識人、さまざまな団体、市民が政治的立場の違いを脇に置いて、国家の独立を守るために団結しなければなりません」と力説しました。


 NATO軍のリビア軍事介入 2011年3月、国連安全保障理事会は、市民の保護を理由に「必要なあらゆる措置」を認める決議を採択。それを根拠に3月19日、米国、イギリス、フランスを中心にした北大西洋条約機構(NATO)軍が軍事介入を開始しました。7カ月間で2万6千回以上出撃し、9600回を超える空爆を実施。多くの市民が犠牲になりました。


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