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2014年8月21日(木)

普及進まず 介護・定期巡回サービス

利用者 他サービス利用で負担増

事業者 採算性・人材確保厳しく

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 介護が必要な重度の高齢者であっても在宅生活を可能にするとして2012年度に始まったサービス「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」(定期巡回・随時対応サービス)。実施している自治体は1割にとどまり、利用者も多くなく、厚生労働省内で見直しが検討されています。どこに問題があるのか―。 (岩間萌子)


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 要介護者を対象にした「定期巡回・随時対応サービス」は、1日に複数回、利用者宅を訪問し、身体介護を中心とした援助を実施します。訪問看護サービスも行います。利用者からの通報にオペレーターが24時間対応し、ヘルパーによる訪問介護サービスも提供します。

 利用料は定額制で、月額約2万5000〜3万円(要介護4〜5)かかります。事業者に支払われる介護報酬も包括払いです。

 利用者から「生活リズムができた」「服薬管理ができるようになった」などの声も聞かれますが、5月時点で実施しているのは220保険者(市町村など)。実施ゼロが4県あります。利用者は7942人にとどまっています。

 見直し対象の一つは利用料です。

 定期巡回サービスの利用料は、介護保険のサービス利用限度額ぎりぎりに対応して設定されています。通所介護や短期入所以外のサービスを利用すると介護費用が限度額を超える可能性があり、超えた分は利用料として全額自己負担しなければなりません。

 事業者側からみるとどうか。

 北海道勤労者在宅医療福祉協会(全日本民医連加盟)の太田眞智子代表取締役は、利用者が通所介護や短期入所などのサービスを受けると、事業者に支払われる介護報酬が減算になるなど、介護報酬の仕組みの複雑さを指摘します。訪問看護の報酬が訪問回数に関係なく定額で決まっていることも、訪問看護を担う連携先の確保を困難にしていると語ります。

 利用者からの通報を受けるオペレーターは、介護福祉士などの資格要件が必要です。太田氏は「単独事業所がオペレーターや随時対応する人を配置することは採算上厳しい。ニーズはあるのに、サービスの開始を難しくしている」と強調します。

 北海道勤労者在宅医療福祉協会は、日中の業務を保障しながら、併設事業所の通所介護の職員や、居宅介護支援事業所の職員がオペレーターを兼務したり、訪問看護を法人内事業所と連携して対応しています。

 太田氏は「重度者の在宅を支えるサービスを整えていくためには、事業が継続できるように、オペレーターの配置基準や訪問看護の実績にあわせた報酬に変えること、人材確保のための根本的な介護報酬の改定が必要です」と話しています。


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