2014年8月1日(金)
病床削減 厚労省 自ら推進
診療内容一元管理、再編押し付け
厚生労働省が“患者追い出し”の病床削減を自らが先頭に立って進めることが、7月31日までに分かりました。全病院が10月、都道府県に報告する「病床機能報告」について、厚労省自らが集計して都道府県に「病床再編計画」を策定させようとしています。診療内容が分かる診療報酬レセプト(明細書)情報もセットにして病院ごとに集約。自主的に行うことになっている病床再編を上から進めるものです。
厚労省が診療情報を事実上、目的外使用し、個人の診療内容も含めて一元的に把握・管理し、利用する点でも重大問題です。
「病床機能報告」は、将来の患者や必要な病床数などを盛り込んだ「地域医療構想」を都道府県が策定するために、病棟の機能や入院患者、医師・看護師の人員配置、医療機器の状況などを報告させる制度。成立した医療・介護総合法に盛り込まれました。
病棟の機能については「高度急性期」など4類型のうちどれに該当するのか、現状と6年後の方向を報告することになっています。
都道府県は、この報告などをもとに「地域医療構想」を策定。関係者による「協議の場」をつくって自主的に病床再編を進めていくとしていました。
ところが、医療機関や都道府県の負担軽減を口実に、厚労省が各病院の報告を集約。診療報酬レセプトのデータベースから取り出した診療内容とあわせて病院ごとの現状を集約する方針を決定。報告事項について医療法施行規則で9月上旬をめどに定める考えです。
医療関係者から「実態を無視して病床が減らされる危険がある。“医療難民”を増やすことになる」「稼働していない病床があるのは、医師・看護師不足のためだ。それを削るのでなく、人員不足の解消こそ必要だ」との声が上がっています。
安倍内閣は、「地域医療構想」をもとに高齢化のピークとされる2025年までに202万床が必要なのに43万床も減らす計画。都道府県で作る「医療費適正化計画」に医療費目標を設定させ、目標の算定式まで示して進めようとしています。
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