2014年7月31日(木)
避難民 限界
ガザ 21万5000人超す
収容先パンク・停電常態化・底つく薬
【カイロ=小泉大介】イスラエル軍によるパレスチナ自治区ガザへの攻撃が激化するなか、死傷者に加え、爆撃の恐怖から家を離れ、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)が運営する学校などに避難する住民も増加の一途となっています。世界保健機関(WHO)の見積もりによれば、その数は30日までに21万5000人以上(ガザ人口は約170万)に達しました。
国連機関警鐘
UNRWAは29日、避難民の収容能力について「限界点を超えた」と表明。避難民が今後も増加しつづけた場合はガザ当局が運営する学校などに収容し、そこへ支援を行う以外に対処する方法はないとしました。
イスラエル軍は29日にはガザの発電所も爆撃し、機能停止に追い込みました。ガザではこの間の攻撃ですでにイスラエルからの送電網が破壊され、1日の大半が停電になることが常態化していました。今回の事態でさらに給水ポンプの稼働も困難になったことから、極度の水不足に陥ることが懸念されています。爆撃による負傷者を多数受け入れているガザ市最大のシファ病院の関係者は本紙の取材に対し、「医薬品がほぼ底をついたことに加え、電気もたった一つの自家発電機に頼っている状況だ」と苦悩を語りました。
人道的危機が深刻化するなか、イスラエルの民放テレビは29日、イスラエルのネタニヤフ首相と米国のオバマ大統領が27日に行った電話会談の中身をスクープしました。
そこでは、オバマ大統領が攻撃の即時停止を求めたのに対し、ネタニヤフ首相は「(ガザを拠点とするイスラム武装抵抗組織の)ハマスはイスラエルの破壊をめざすテロ組織だ」と述べて拒否。停戦するには、ガザからイスラエルに通じるトンネルやロケット弾を破壊してハマスを武装解除させることが条件だとの立場を示しました。
一方、ハマスの武装部門の責任者は29日、「イスラエル軍による攻撃の停止とガザ封鎖が解除されるまでは停戦はない」と断言するなど、双方の主張は正面から対立したままとなっています。