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2014年7月30日(水)

比大統領演説 「改革」の陰で貧困拡大

予算の不正流用疑惑も

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 【ハノイ=松本眞志】フィリピンのアキノ大統領は28日、マニラの下院で2010年の就任後5回目となる施政方針演説を行いました。インフラの拡張や軍の近代化、腐敗根絶の「改革」で前進したとし、「改革の結果だ」と強調。しかし、経済成長の陰で拡大する貧富の差に国民の不満は増大しており、マニラ中心街では同日、労組や市民団体が抗議行動を展開しました。


 アキノ政権下では高い経済成長率が続き、13年の成長率は予想された7・2%を上回ったとされます。

 一方で、庶民生活は苦しさを増しています。失業率は7・3%と東南アジアでも高い状態が続き、インフレ率も先月は4・5%を記録し、この2年間で最高となりました。

 現地メディアによると、市場で働くエミー・バロチャさんは、「日々の生活必需品を買うお金の余裕がほしい。経済成長率は高いが、多くの人々は生活の質が落ちたとこぼしている」と言います。

 モネッテ・ダナオさんは「いまの生活は困難。食料を買う余裕もなく多くの人々が空腹を抱えている。物価は高騰して以前よりも貧しくなった」と窮状を訴えました。

 最高裁判所は今月、11年にアキノ氏が導入した景気刺激策「国家予算転用制度」を憲法違反だと判決。景気刺激予算を確保するために、スラム街で暮らす低所得層住民の住宅建設や再移動計画の予算が削られた上に、転用された予算の一部が議会工作のために上院議員に配られたと指摘されています。

 議員の裁量で一定額の国家予算を地方の公共事業に割り当てることができる「ポークバレル」制度も不正の温床となりました。同制度は昨年、最高裁判決で違憲とされ中止。しかし、すでに3人の上院議員が逮捕される事態となっています。

 こうしたスキャンダルがアキノ氏の「反不正」のイメージを損ない、支持率の急落を招いています。現在、大統領の弾劾訴追案が複数、下院に提出されています。


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