2014年7月21日(月)
マレーシア航空機撃墜事件
欧米からロシア批判噴出
【パリ=島崎桂】298人が犠牲となったウクライナ東部でのマレーシア航空機撃墜事件に関連し、ロシアが支援する親ロ派勢力による犯行との見方を強める欧米諸国から、ロシアとプーチン大統領への批判が噴出、対ロ制裁強化につながる動きも出始めています。
欧米諸国はウクライナ問題に関し、ロシアが親ロ派に人的・物的支援を行っていると繰り返し非難してきました。今回の撃墜についても、同国が親ロ派に提供した地対空ミサイル「SA11(ブク)」によるものとの見方が強まっています。
今回の事件で最多の193人が犠牲となったオランダのルッテ首相は19日、前日に引き続くプーチン氏との電話会談で「非常に激しい」やりとりがあったと表明。「プーチン氏にとって(今が)協力姿勢を示す唯一で最後の機会だ」と指摘しました。シュタインマイヤー独外相も地元メディアに対し、「状況の悪化を防がなければ何が起きるか、今こそ全ての者が考える時だ」と述べました。
両氏の発言は、対ロ制裁の強化を念頭に置いたものとみられます。エネルギー分野を中心にロシアとの関係が深い欧州連合(EU)とその加盟国による対ロ制裁はこれまでのところ、特定の人物・企業の渡航禁止や資産凍結にとどまり、自地域にも悪影響を与えるロシアとの貿易規制には至っていません。
10人の犠牲者を出した英国のキャメロン首相は、ルッテ氏との電話会談後「親ロ派がマレーシア機を撃墜したとの証拠を考慮し、EUはロシアへの対応を見直す必要があるとの認識で一致した」と発表。オバマ米大統領も18日、今回の撃墜は「欧州に覚醒を促すものだ」と述べ、欧州諸国による対ロ制裁の強化を求めていました。
現在のところ、軍事制裁への動きはみられません。