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2014年7月8日(火)

イラク派兵の街不安 石川

“俺に何かあったら妻子よろしく”

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 「憲法と国民をばかにするな」―。陸上・航空自衛隊の基地がある石川県でも、安倍政権が集団的自衛権行使容認の「閣議決定」を強行したことに基地周辺の住民から不安や怒りの声が上がっています。

 (石川県・中西優)


常連客の隊員ポツリ

図

 金沢市南部の丘陵地にある陸上自衛隊金沢駐屯地。イラク戦争の際にはこの駐屯地からも約60人が派遣されました。集団的自衛権行使が容認されたもとで派遣命令が下されれば、多くの隊員が戦闘地域の真っただ中に行くことになります。

 「安倍さんは何でこんなことをしたのかねえ」とため息をこぼすのは駐屯地近くで店を営む70代の女性です。若い隊員にもよく利用され、顔なじみも多いといいます。

 国会で集団的自衛権容認が議論されているとき、店の常連の若い隊員が発した一言が忘れられないといいます。「おばちゃん、もし今度海外に行くことになったら、命令やと割り切って行く。もし俺に何かあったら嫁さんと子どもと仲良くしたってください」

 女性は、安倍首相に怒りの声をあげます。「集団的自衛権を使ったら傷つけ、傷つけられるのはあんたら政治家やない、隊員とその家族や。今からでも考え直してください」

写真

(写真)陸上自衛隊金沢駐屯地近くの商店街。道路左の奥には自衛隊の宿舎、さらに奥に駐屯地があります=4日、石川県金沢市

日本守るはずが

 ゴー、ゴー。一日中戦闘機の爆音が鳴り響く航空自衛隊小松基地(小松市)。近年では、日米同盟の強化を象徴するように日米共同訓練も激しさを増しています。

 多くの自衛隊員と親交が深い男性(68)は「私は憲法改正を正面からやった上で、自衛権などの整備をすればいいという立場」と前置きした上で、こう語ります。「それでも今回の安倍さんのやり方には納得がいかない。憲法や国民をばかにしすぎだ」

 町会の元役員として隊員とも関わってきた男性(71)も「多くの隊員の人たちは『日本を守りたい』『災害支援などで役に立ちたい』と入隊したはずだ。まともな議論もなく、『海外に行ってこい』という方針に変えていくのはおかしい」と政府の動きを批判します。

若者の未来奪う

 安倍内閣の閣議決定を期して、石川県でも高校3年生ら18歳を対象に自衛隊から「募集案内」が突然送付される事例が相次いでいます。

 金沢市内に住む男性(48)は、来年春に高校を卒業予定の長男あてに閣議決定の翌日、「募集案内」が届きました。

 昨年、友人の息子が自衛隊に入隊したと聞いたときは、「災害支援や訓練が主な仕事でそんなに危険は無いだろうし、安定した公務員になって良かったな」と声をかけたという男性。今では「あの子はこれから大丈夫だろうか」と気が気ではないといいます。

 男性は「海外の戦争に行く可能性が高まり、隊員のなり手が減るからこういう手段を取っているんでしょう。安倍首相は仕事や生活の面でも若い人の希望を奪っておいて、これ以上若者の未来を奪わないで」と募集案内をくしゃくしゃに握りつぶして語りました。


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