2014年6月24日(火)
米のイラク介入反対
イラン最高指導者
過激派が西部攻勢
【カイロ=小泉大介】イランの最高指導者ハメネイ師は22日、混迷する隣国イラク情勢に米国が介入することに厳しく反対する立場を表明しました。イラクでは同日、イスラム教スンニ派過激派組織「イラク・シリアのイスラム国(ISIS)」が西部で新たに二つの国境検問所を掌握するなど、攻勢をさらに強めました。
イラン国営通信によると、ハメネイ師は司法関係者との会合で、「われわれはイラクに対する米国や他国の介入に強く反対する」「イラク政府や国家、宗教指導者は自らの力で混乱を終結させることができると信じる」と明言しました。
イスラム教シーア派を国教とするイランは、ISIS掃討作戦を行っているシーア派主導のマリキ・イラク政権を支持しています。14日にはロウハニ・イラン大統領が「テロとのたたかい」のためには米国と協力する可能性も示唆していました。
ハメネイ師は今回、「米国は自らのお気に入りを権力につけようとしている」とも述べており、発言は米政府がこの間、軍事的支援の表明にとどまらず、イラクでの「挙国一致政府」の樹立も求めたことへのけん制との見方も出ています。
一方、現地からの報道によると、イラクでは22日、ISISが西部アンバル州にあるシリア国境のワリードとヨルダン国境のトゥライビルの両検問所を掌握しました。ISISはイラク国内で最大の面積を持ち、シリア、ヨルダン、サウジアラビアと国境を接するアンバル州への攻勢を強めています。
同日までには同州で、イラク・シリア間の交通の要衝であるカイム検問所やラワ、アナ、ルトバの三つの町も制圧しており、西部のほぼ全域を支配下に置く動きを見せています。