2014年6月22日(日)
フェアプレーの風
日本人サポーターの貢献
応援マナー共感呼ぶ
サッカーW杯
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サッカーW杯ブラジル大会で日本サポーターの行動が称賛されています。
試合中、水色のビニール袋を膨らませて応援するサポーターたちは、試合が終わるとその袋を手に、スタジアムのごみを拾う活動をしています。
光景
14日、日本が敗れたコートジボワール戦後、この様子が海外の人の目にとまるところとなりました。スタジアムで見た人々が、写真や動画に収め、ソーシャルメディアに載せ、テレビ、新聞なども取り上げました。
「試合には負けたが、礼儀正しさで高得点を挙げた」(フォーリャ・デ・サンパウロ)「結果に満足していなかったにもかかわらずごみを拾い、教育と民度の高さを示した」(地元テレビ局グロボ)「日本のサポーターは善意の精神を忘れなかった。日本以外のほかにこのような光景を見ることは珍しいことである」(イギリス紙メトロ)
19日のギリシャ戦(ナタル)では、地元紙トリブーナ・ド・ノルテが翌日付の1面で、ごみを拾うサポーターの写真を掲載しました。
こうした活動は、日本がW杯初出場を果たした1998年のフランス大会が最初でした。「応援のためのものが、ごみになっては格好が悪い」と、サポーターの中心団体の呼び掛けで始まったのです。
一番の目的は日本代表の応援です。ギリシャ戦で袋を外国人に配っていた男性(36)は、「ブラジル人はみな黄色いユニホームを着てスタジアムにくる。少しでも日本のユニホームの色をふやしたくて」といいます。この日も多くの外国人が水色の袋をもって応援をしていました。
試合後は、袋が本来の“役割”を発揮します。そこにはサポーターそれぞれの思いもありました。
発信
Jリーグ2部ファジアーノ岡山のユニホームを着た男性(20)はいいます。「ゴール裏は僕らにとったら聖地。いつも応援する場所はきれいにしておきたい。だからJリーグでもいつも自主的に清掃しています」。袋にはすでにいっぱいのごみがつまっていました。
初のW杯という女性(20)は「青い袋の応援は一体感があって楽しかった。その上、スタジアムをきれいにするのは、思いやりのある行動でとてもいい」。
よく見ると、ギリシャ戦の後には、日本人の周りにいるブラジル人や外国の人たちがいっしょになってごみを拾っている姿がありました。
「ごみをもってきて袋に入れてくれるとき、向こうの方から『オブリガード(ありがとう)』といってくれる。心がつながった感じがして、なにかうれしい気持ちになりました」。20歳の男性は笑みをうかべて話しました。
日本のサポーターの純粋な心が、国を超え、共感の輪を着実に広げています。同時に思うのは、その大本にある考え方です。独りよがりでない応援のあり方をどうつくるのか。日本の若者たちは、そんな新たなサポーター像を世界に発信している気がしてなりません。(ナタルで和泉民郎、安岡伸通)