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2014年6月10日(火)

エジプト新大統領就任

シシ氏 成長・安定を強調

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 【カイロ=小泉大介】5月に実施されたエジプト大統領選挙で勝利したアブデルファテフ・シシ前国防相(59)は8日、首都カイロの最高憲法裁判所で宣誓をおこない、新大統領に就任しました。昨年7月に軍がモルシ前大統領を解任して以降の同国の政治プロセスは、新たな段階に入りました。


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(写真)シシ新大統領就任を祝うためタハリール広場に集まった人々=8日、カイロ(小泉大介撮影)

 シシ氏は就任宣誓後に行われた式典で演説し、「私は経済成長、安定、生活レベルの向上を追求する」と強調すると同時に、「短期間ですべてが変わると約束はできない」とも述べました。

 ムバラク独裁体制を倒した2011年はじめの「革命」については、「新しい時代の礎となるものだ」とのべるとともに、自身が3月までトップを務めた軍を「国民の希望と要求を満たす名声ある国家組織だ」と持ち上げました。

 モルシ前大統領の出身母体であるイスラム主義組織・ムスリム同胞団に対しては、「犯罪に手を染めたものたちへの寛容はない」と、弾圧を継続する意志を示しました。

 外交では、「(特定の国に)依存する関係は終わった」「今後はバランスのとれたものとなる」と述べ、米国一辺倒からの脱却を図る意志を明確にしました。

 式典にはサウジアラビアのサルマン皇太子(副首相兼国防相)、ヨルダンのアブドラ国王、パレスチナ自治政府のアッバス議長などアラブ諸国の首脳級が多数出席しました。


解説

問われる「革命」への姿勢

 シシ新大統領は就任演説で、経済や治安の改善への決意とともに、「革命」の道を推進する姿勢も表明しました。はたしてそれは本物なのか。

 エジプトでは今後、数カ月以内に国会議員選挙が実施される予定ですが、マンスール暫定大統領がシシ氏への権力移譲直前の6日に制定した新選挙法は、重大な問題点をはらんでいます。

 「革命」から約1年後の前回選挙は、全議席の3分の2を政党リスト(比例代表)で、残りを個人名簿(小選挙区制)で選ぶ仕組みで行われました。しかし新法は、個人名簿による選出を8割にまで拡大しました。

 これには、「革命」派の政党・組織や青年たちが猛反発。資金力が豊富なムバラク時代の与党・旧国民民主党幹部や企業経営者たちに有利であり、「革命」後にふさわしい政党の役割が根底から損なわれるとして改正を強く求めています。

 同じく暫定政権が制定し、表現の自由の侵害だと国民の非難を浴びているデモ規制法と合わせて、シシ新大統領の姿勢が問われる問題です。

 シシ氏は選挙で97%を得票し相手候補のサバヒ氏に圧勝しました。しかし、ムスリム同胞団や「革命」派青年などの棄権により投票率は5割に届かず、国民多数の支持を得ているとはいえません。

 8日には首都カイロ中心部のタハリール広場に、シシ新大統領就任を祝う国民が繰り出しました。そこでも「もしシシ氏が革命の道を踏み外せば、ムバラク、モルシ両氏と同じ運命をたどることになるだろう」と警告する声が聞かれました。(カイロ=小泉大介)


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