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2014年6月2日(月)

欧州委員長選出めぐり対立

手続き踏まず不信感

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 【パリ=浅田信幸】欧州連合(EU)の“首相”ともいうべき「欧州委員長」の選出をめぐるEU内の意見の対立が、欧州市民に不信感を引き起こしています。

 EUは民主主義の拡大をねらい、機関の中で唯一、直接選挙で選ばれる欧州議会の権限を、基本条約のリスボン条約(2009年12月発効)で強化。EUの行政機関「欧州委員会」のトップである欧州委員長(首相)を「欧州議会選挙の結果を考慮して」首脳会議が候補者を提案し、議会の過半数の支持で「選出」します。

 今回の選挙戦は同条約発効後、初めて。5会派がそれぞれ首相候補を指名し、有権者が首相を選ぶのだと宣伝され、全欧規模でのテレビ討論会も実施されました。

 ユンケル氏(元ルクセンブルク首相)は第1会派、欧州人民党の首相候補でした。5月25日に開票された選挙結果で同党は、定数751議席中214議席を確保して第1党を確保。第2会派の社会民主進歩同盟のシュルツ首相候補も負けを認め、会派としてユンケル氏を首相候補と認めると表明しました。

 ところが27日のEU首脳会議では、ドイツのメルケル首相がユンケル氏を候補の一人として認めつつ、より多くの候補から選考すべきだと発言。その後、英国のキャメロン首相が、EU権限強化を唱えるユンケル氏が選出された場合、英国はEUを離脱する可能性があるとメルケル氏に伝えていたことがわかりました。

 基本条約で決めた手続きを踏まないやり方に、ドイツの公共放送ARDのニュースキャスターは「有権者に対する詐欺行為だ」と強く批判しました。

 ロイター通信によると、欧州統合の信奉者である独哲学者のユルゲン・ハーバーマス氏は、議会第1会派のユンケル氏以外の候補者を引き出すことは「欧州プロジェクトに打撃を加える」「今後、誰も欧州議会選挙に投票に行くとは期待できなくなる」と述べました。


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