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2014年5月30日(金)

主張

集団的自衛権審議

「戦地」派兵への危険あらわに

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 安倍晋三首相による集団的自衛権の行使容認検討の表明(15日)を受け、初めての国会論戦が行われました。首相は「武力行使を目的として戦闘行為に参加することはない」などと繰り返しました。衆院予算委員会で質問に立った日本共産党の志位和夫委員長は首相の主張がごまかしであることを明らかにし、憲法解釈の変更で可能にしようとしている集団的自衛権の行使とは、戦地に自衛隊を派兵し、「アメリカの戦争のために日本の若者の血を流す」ことであることを浮き彫りにしました。

憲法上の歯止め外す

 集団的自衛権の行使とは、日本に対する武力攻撃がなくても、他国のために武力行使ができるようになることです。

 政府はこれまで、憲法9条の下で許される自衛隊の武力行使は「我が国自身が外部から武力攻撃を受けた場合における必要最小限の実力の行使」だけであり、それ以外の武力行使は「いわゆる侵略戦争に限らず国際関係において武力を用いることを広く禁ずる」としてきました(2003年10月9日、参院テロ特別委、秋山收内閣法制局長官)。

 このため日本は、米国によるアフガニスタン報復戦争(01年)、イラク侵略戦争(03年)に際し自衛隊を派兵しましたが、これら自衛隊派兵の根拠法である特別措置法にはいずれの場合も、「武力行使をしてはならない」「戦闘地域に行ってはならない」という二つの歯止めが明記されていました。

 志位氏は集団的自衛権が行使できるようになれば、この二つの歯止めはなくなってしまうのではないかと再三にわたり追及しました。首相は「アフガン戦争においても、イラク戦争、湾岸戦争でも、武力行使を目的とした戦闘行動に参加することはない」と繰り返す一方で、歯止めを「残す」とは言いませんでした。

 志位氏は、首相が「武力行使を目的とした活動はしない」と繰り返すものの、「武力行使はしない」とは言わないことを指摘しました。その上で、「武力行使を目的にした活動」ではない自衛隊による米軍などへの輸送、補給、医療といった兵たん活動(後方支援)も「戦闘地域に行ってはならない」という歯止めを残すのかとただしました。これに対し、首相は「何が武力行使と一体化する行為なのかを明確にするのは検討課題」「非戦闘地域、後方地域の概念も含めた検討が必要」と述べ、活動内容の点でも、活動地域の点でも範囲を拡大する方向で検討することを明らかにしたのです。

 「戦闘地域に行ってはならない」という歯止めなしに米国の戦争に参戦すれば、それ自体は戦闘行為ではない兵たん活動であっても相手側の攻撃を招き、これに応戦する形で憲法9条が禁止する武力の行使になってしまいます。

戦争の泥沼に入る

 実際、アフガン報復戦争でNATO(北大西洋条約機構)諸国は集団的自衛権の発動として直接の戦闘行為ではない兵たん活動を行い、今日までに21カ国1031人もの犠牲者を出しています。日本が集団的自衛権の行使に踏み切れば、日本国民の命を守るどころか、戦争の泥沼にはまり込んでしまうことは明らかです。「海外で戦争する国」への重大な転換を許さない世論と運動が求められます。


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