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2014年5月20日(火)

B・C型肝炎 救済早く

医療費助成求め全国訴訟原告団

「100万人署名」街頭で訴え

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(写真)肝がん・肝硬変への医療費助成を求める署名を集める全国B型肝炎訴訟原告団・弁護団の人たち=11日、堺市

 「私たちのような思いはだれにもさせたくない」―。全国B型肝炎訴訟原告団の人たちが口をそろえます。

 同原告団・弁護団、薬害肝炎訴訟原告団・弁護団と日本肝臓病患者団体協議会は、「100万人署名」と銘打って、肝がん・肝硬変への医療費助成を求める署名活動をすすめています。地方議会にも働きかけ、これまでに28道府県14政令市141区市町村が国への意見書を採択しています。

子どもに感染

 11日、堺市の耳原鳳クリニックで開かれた「第23回耳原鳳健康まつり」でも、懸命に署名を集める全国B型肝炎訴訟大阪原告団の人たちの姿がありました。

 原告の女性(58)は長男出産時の血液検査で感染を知らされました。当時、母子感染を防ぐ手だてはありませんでした。るり子さんと長男は今は症状の出ないキャリアですが、次男は30代で肝硬変に進行。「病気のことをきちんと知らないまま、子どもたちに感染させてしまった」という思いに、ずっと苦しめられてきました。

 女性(64)は遺族原告です。夫は48歳で慢性肝炎と診断され、10年後、肝がんで亡くなりました。「自営業だったから、病院から家に帰るといって出てきて仕事して。収入は半減するし、医療費は毎月10万円以上もかかるし」

 女性は近所に住む夫の兄の協力で提訴しました。「私たちは予防接種による感染を証明する書類をそろえて原告になることができ、国と和解できた。だから、それができない被害者のために力をつくしたい」

 被害者たちは、「具合が悪くてもなまけていると思われる」「うつるといわれて食器や衣類の洗濯などを別にされる」といった差別や偏見にいたるところでさらされてきました。

「知り合いが」

 昨年12月、「100万人署名」が打ち出されてから大阪原告団の人たちは毎週、街頭で署名を訴えました。ときには連日立ったことも。「実は家族がB型です」「友人が」「知り合いが」―。署名に応じてくれる人のなかに必ずそういう人がいるといいます。その人たちの多くが、病気そのものについても裁判についても知りません。

 「実は私もB型肝炎なんですよ」と11日、署名した68歳の堺市の女性も、裁判について「まったく知らなかった」といいました。20年ほど前に肝炎を発症し、慢性化。今は落ち着いているといいますが、「いずれ肝がんになるんじゃないかと不安です」と話します。「医療費が助成されれば助かりますね」とも。

 大狼秀規大阪原告団副代表はいいます。「ウイルス性肝炎は国のずさんな予防接種行政による『国民病』。だれがかかっていてもおかしくない。自覚症状がないまま進行することも多いので、『一生に一度でいいのでウイルス検査を』と呼びかけたい。早く治療すれば完治する方法が見つかりつつあるんです」

(荻野悦子)


 ウイルス性肝炎と裁判 B・C型の肝炎ウイルスは血液を介して感染し、肝炎、肝がん、肝硬変を引き起こします。感染源に心当たりのない患者の多くが、予防接種時の注射器使い回しによって感染したと考えられ、患者数は350万人にのぼると推定されています。B型肝炎は、国による予防接種時の注射器使い回しが、C型肝炎は、ウイルスに汚染された血液製剤を使い続けた国・製薬会社の責任が、それぞれ裁判で断罪されました。しかし、裁判で国・企業の責任が明らかにされるまでに20年以上かかったため、被害者が感染源を証明することは非常に困難で、これまでに救済された被害者はごく一部にとどまっています。


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