「しんぶん赤旗」
日本共産党
メール

申し込み記者募集・見学会主張とコラム電話相談キーワードPRグッズ
日本共産党しんぶん赤旗前頁に戻る

2014年5月20日(火)

きょうの潮流

このエントリーをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 mixiチェック

 6年後のオリンピック開催にむけて東京がまた大きく変動しようとしています。重なり合って進む巨大開発。集中する湾岸部の地価はすでに高騰し、超高層マンションの建設も相次ぎます▼施設や道路がつくられ、新たな線路が敷かれる。半世紀前と同じく、五輪を契機に様変わりしていく風景。しかし、急激な国づくり、街づくりは至るところにひずみを生んで、わたしたちの生活に押し寄せてきました▼モノ・ヒト・カネの激動がもたらしてきた犠牲。それは、サッカーのW杯を前に民衆の抗議活動が起きているブラジルをはじめ、世界各地で深刻化しています。経済発展の欲望を満たす一方で、市井の人びとの暮らしを置き去りにしてきたからでしょう▼戦前、戦中、戦後と変貌してきた東京。その様を庶民の生活を通して写し出してきた桑原甲子雄(くわばらきねお)さんの写真展が、いま世田谷美術館で開かれています。大正の始まりに下町に生まれた桑原さんはカメラを手に路地を歩き回り、空気のような日常を切り取ってきました▼二・二六事件当時の一枚を含め、戦時色が濃くなっていく30年代の写真。命が安く軽く扱われた戦時中の家族の表情。戦後の著しい変化のなかで失われゆくもの…。歴史の表層ではなく、桑原さんの写真からは「生活の匂いと潤い」がにじみ出てきます▼その時代が現れる街。桑原さんの写真はそこに人の姿が写し込まれています。狂暴に移り変わる街ではなく、日々を懸命に生きる人たちこそ主人公であれ、と願うように。


見本紙 購読 ページの上にもどる
日本共産党 (c)日本共産党中央委員会 ご利用にあたって