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2014年5月19日(月)

主張

「法人税改革」

大義なき“減税”目的の暴走

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 政府の経済財政諮問会議と政府・自民党の税制調査会で、安倍晋三政権が6月に決める経済財政運営の基本方針(「骨太の方針」)に向け、「法人税改革」の検討が加速しています。国税と地方税を合わせた法人実効税率(東京都の場合35・64%)を20%近くまで引き下げるのがねらいです。財政危機だといって国民に消費税増税や社会保障の改悪を押し付けておきながら、大企業を中心に法人税の負担だけ大幅に引き下げるのは著しく不当で、大企業の税金を軽くしても国民の懐がよくなる保障がないことなどに照らしても、まったく大義がありません。

「アベノミクス」の目玉

 法人税減税はもともと安倍首相が強く主張してきたもので、「世界でもっとも企業が活動しやすい国」をめざすという安倍政権の経済政策「アベノミクス」の目玉です。東日本大震災の復興財源にあててきた特別法人税を廃止したのに続き、ことしから「法人税改革」に取り組むと首相自身繰り返し公言してきました。

 首相の意向を受け、政府の税制調査会は、「構造改革」を推進してきた大田弘子政策研究大学院大学教授を座長に法人課税ディスカッショングループ(DG)を設置し、このほど報告書の案をまとめました。報告書案は、「法人税改革」は「わが国企業の競争力を強化するため」、税率を引き下げることが目的であるとあからさまに主張しています。しかも、「負担が一部の黒字法人に偏っている現在の負担構造を見直す」と明言しており、大企業を中心にした黒字企業の負担は軽くしてやり、中小企業が多い赤字法人などには増税して、“広く薄い”法人税をめざすねらいを隠しません。とんでもない大企業優先の「減税」であり、経営に苦しむ中小企業などからみても許されるものではありません。

 そのうえ報告書案が「法人税改革」は「必ずしも単年度での税制中立である必要はない」と減税先行を主張し、「法人税の改革と併せて、関連する他の税目についても見直す必要がある」と、法人税にとどまらない増税の可能性を示唆していることは重大です。法人税減税を「恒久減税」にするため、財源も「恒久財源」を鉄則にするとしており、さらなる消費税増税で穴埋めされる危険性があります。

 政府税調は、法人税の租税特別措置の見直しや法人事業税の外形標準課税の強化などの検討をはじめていますが、それだけではとても10%の税率引き下げなら最低5兆円が必要とされる減税財源は確保できません。大企業の「減税」を強行するために国民向けには大増税をたくらむとなれば、法人税減税はいよいよ国民にとって“百害あって一利なし”です。

経済を衰退させる危険

 安倍政権は、法人税を下げれば海外からの企業の進出も増え、経済の活力が高まるようにいいますが、法人税減税は、国際的にも有害な税率引き下げ競争を激しくするだけで、企業進出の保障さえありません。もうかっている大企業がまともに税金を払わず、国民は重税に苦しむというのでは経済はますます冷え込むことになり、それこそ日本経済衰退の道です。

 大企業だけの法人税「減税」の暴走はやめさせ、国民のふところを豊かにする政策に転換してこそ、経済も財政も立て直せます。


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