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2014年5月9日(金)

きょうの潮流

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 古くから多くの湯治客でにぎわう群馬県草津町。街から外れて小道をたどっていくと、国立ハンセン病療養所「栗生楽泉園(くりうらくせんえん)」があります。標高千メートルをこえる高地にも、いま春が訪れています▼花々が咲き、若葉が芽吹く園内。その一角に真新しい資料館ができました。かつて、「特別病室」の表札を掲げながら、コンクリート塀で囲い、鉄格子、南京錠で患者を監禁した「重監房」。それを復元したものです▼官民一体となったハンセン病隔離政策の歴史を象徴する重監房が同地に設けられたのは1938年。園の自治会の記録によると、戦後の人権闘争で廃止されるまで各地から“草津送り”された患者は93人。そのうち23人が獄死しています▼4畳半ほどの独房には小窓があるだけ。冬は零下20度近くまで下がるなか、霜に覆われ、床に凍り付いていた死体も。500日以上も収監された人もいて、「まさに孤独地獄、闇地獄、飢餓地獄、極寒地獄」だったと記されています▼入獄者のほとんどは「たてつく者」でした。人間らしさのかけらもない非道・劣悪な処遇に立ち上がった人たち。それが懲罰の対象だったのです。重監房の名付け親で、同園自治会長の藤田三四郎さんは資料館の完成を喜びます。「国家による人権侵害の歴史を二度とくり返さないためにも永久に残したい」▼園内には基礎部分だけが残る重監房の跡地もあります。小鳥さえずる木立の中にたたずむと、命の尊厳を奪われた人びとの無念の叫びが、いまも聞こえてきます。


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