2014年5月1日(木)
中東交渉 期限切れ
止まらぬ違法入植、和平の障害
平和団体がイスラエル批判
【カイロ=小泉大介】昨年7月末に約3年ぶりに再開されたパレスチナとイスラエルの和平交渉は4月29日、“崩壊状態”のまま期限切れを迎えました。同日にはイスラエルの平和団体「ピースナウ」が、この9カ月の交渉期間中に、かつてない規模のユダヤ人入植住宅建設が推進されたと告発。イスラエルによる違法な入植地拡大が和平の最大の障害となっていることがあらためて鮮明となりました。
「ピースナウ」によると、イスラエル政府が交渉期間中、占領地東エルサレムとヨルダン川西岸での入植住宅建設のために開始した入札と新たに承認した建設計画は、合わせて1万3851戸に達します。同団体は「1日平均50戸、1カ月平均1540戸というのは前例のない数字だ」として、イスラエル政府を厳しく批判しました。
占領地への入植活動は、軍事占領に関する戦時国際法や国際人道法、関連する国連諸決議などの国際法に明白に反する違法行為です。パレスチナ側は、イスラエルによる入植活動が、ヨルダン川西岸とガザ地区に建設を目指している将来の独立国家を根底からむしばむものだとして、その凍結を、和平交渉進展の不可欠の前提として繰り返し求めてきました。にもかかわらず、イスラエル側はあえて和平に逆行する姿勢をとり続けてきました。
パレスチナ自治政府のアッバス議長は29日のテレビ演説で、交渉延長の条件として入植地建設凍結などをあらためて求めました。しかしイスラエル政府はこれに応える姿勢を示しておらず、交渉再開のめどはまったく立っていません。