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2014年4月28日(月)

きょうの潮流

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 上州人の気質を表す言葉に「かかあ天下に空っ風」が有名です。昔からこの地域で盛んだった蚕糸業とかかわりがあり、働いて家庭を支える女性が多かったことから、いわれるようになったそうです▼群馬県のホームページにも、江戸時代後期の戯作者、十返舎一九のこんな紀行文が紹介されています。「養蚕、糸引き、機織りをやっているのは女子ばかり。女なくては明けぬ国とは上州のことだ」▼その伝統が世界に認められました。明治政府による工業化で生糸の大量生産を実現した富岡製糸場と、絹産業の遺産群が、世界文化遺産に登録される見通しになりました。決まれば、日本の近代化遺産では初めてです▼喜びにわく地元を訪ねると、休日と重なって人の波。ふだんは物静かな街も活気づき、製糸場も行列です。急きょ増やしたというガイドさんによると、いつもの2、3倍の数だとか。サッカー場7面分ほどの広大な敷地に入ると、過去に戻ったような趣があります▼繭から生糸をとる機械が保存されている繰糸(そうし)場をはじめ、大量の繭を保管した倉庫や先の大雪で倒壊した乾燥場が連なります。西欧の技術を取り入れた赤レンガの建物に、各地から集められた「女工」たちが生活していました▼殖産興業・富国強兵のもと、当初は進んでいた労働環境も劣悪さを増していきました。近くの寺には故郷から離れた地で若くして亡くなった多くの女工の墓がひっそりと並んでいます。それもまた、近代化の影で命を削った人びとの歴史です。


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