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2014年4月26日(土)

教授会の審議権奪う

学校教育法改悪案を閣議決定

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 安倍内閣は25日、憲法が保障する「大学自治」を破壊する学校教育法・国立大学法人法改定案を閣議決定し、国会に提出しました。

 改定案では、教育研究や大学運営に関する審議権を持つ教授会を、教育研究に関する重要事項に限って「学長が必要だと認めた場合、意見をのべる」として諮問機関とすることを規定。教授会の審議権を奪い、学長による上意下達の運営を強める内容となっています。

 副学長について「学長を助け、命を受けて公務をつかさどる」と定め、学長権限を委任されたものとして副学長の役割を強化する規定を盛り込みました。

 国立大学の学長選考に関しては、学長選考会議が学長選考の基準を定め、公表するとしました。一方で、学長選考会議の構成については付則で検討事項としています。

 国立大学の経営協議会についても「過半数」を学外者とすることを新たに規定。学内の意見を反映しにくくする内容となっています。

「学問の自由」脅かす重大改悪

 大学は、憲法第23条「学問の自由」にもとづき「大学の自治」が保障されています。政府の干渉をうけずに国民に対して教育研究の責任を負うためです。それを具体化した法制が学校教育法であり、第93条の定める教授会の審議権です。

 安倍内閣が提出した学校教育法等改定案は、教授会を「学長が必要と認める場合に意見をのべる」だけの機関に矮小(わいしょう)化し、それも教育研究に関する事項に限定し、大学経営(予算・人事・組織)には意見も言わせないとしています。教授会の審議権をなくし、「大学の自治」を骨抜きにするもので、「学問の自由」を脅かす重大な改悪です。

 学長権限の委任をうけた副学長をつくり権限の執行力を広げるとか、国立大学法人の経営協議会の過半数を学外者とし学内の意見を反映しにくくするなどの改悪もあります。

 政府は、学長のリーダーシップを確立すると言いますが、大学は「学問の府」であり教授会にも多様な意見が存在します。そうした教授会の審議にもとづいて、多様な議論をまとめる能力・資質こそが学長に求められるリーダーシップです。

 教授会の審議権をなくせば、学長独裁による上意下達の運営が強まり、教育研究や大学改革への教職員の主体性や活力が失われる寒々とした大学になるだけです。

 政府は、国や財界の言いなりになる大学への変質をねらい、国立大学の法人化(2004年)で学長に権限を集中させました。そのもとで、山形大学では元文部科学事務次官の学長が、情報漏えいで原子力規制庁審議官を更迭された人物などを独断で採用しました。

 今回の改悪は、こうした学長独断をすべての大学で可能にし、安倍内閣や財界のねらう大学「改革」、産業競争力強化に必要な人材の育成、大学教員の年俸制導入、国立大学の統廃合や学費値上げ自由化などを推進するために、その障害となる「大学の自治」を壊そうとするものです。

 (改正充・党学術・文化委員会事務局長)


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