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2014年4月18日(金)

主張

法人税「改革」

“減税ありき”は道理がない

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 大企業を中心にした法人税減税の検討が本格化しています。安倍晋三首相の意向を受け、3月から法人税「改革」の検討を開始した政府の税制調査会は、税率の引き下げを大前提に作業を急いでいます。財務省や自民党の税制調査会には財源などを懸念する声がありますが、安倍首相は「法人税改革は国際公約だ」と減税実行にハッパをかけています。まず“減税ありき”の法人税「改革」は、税のあり方からも財源対策からも道理がありません。安倍政権は6月に決める「骨太の方針」に法人税減税を盛り込む方針です。道理のない大企業減税は許されません。

大企業減税だけが目的

 安倍首相が大企業を中心とした法人税減税に固執しているのは、自ら進める「アベノミクス」の「成長戦略」で、「世界でもっとも企業が活動しやすい国」を目指しているためです。安倍政権は昨年末の予算編成で、東日本大震災の復興財源になる特別税を法人税だけ廃止すると決めるとともに、法人の実効税率を引き下げる方向を打ち出しました。安倍首相はその検討が始まってもいないうちに1月末の国際会議で「法人税改革に着手する」と約束しました。首相の異常な前のめりは明らかです。

 3月から始まった政府税調の法人課税ディスカッショングループ(DG)では、最初の会合で大田弘子座長が「法人税の税率引き下げが必要」と提案しました。論議の前から結論が出ている異例な審議で、租税制度の基本的事項を調査審議し首相に意見をのべる税調の役割を投げ捨てるものです。

 日本の税制ではこの4月1日から消費税の税率が17年ぶりに引き上げられたばかりです。安倍政権は来年10月からさらに10%に引き上げようとしています。政府税調が検討するというならまず消費税増税の是非を検討すべきなのに、それはそっちのけで法人税減税を検討しようとは本末転倒もはなはだしいものです。消費税が導入された1989年からの26年間に消費税の累計は282兆円にのぼり法人税の累計は255兆円も減っています。消費税増税を続け法人税をさらに減税するのは、税制のゆがみを激しくするだけです。

 法人税減税はもともと大企業の要求です。経団連は14日、国税と地方税を合わせた法人の実効税率(東京の場合35・64%)を「早急に25%程度まで引き下げる」ようあらためて政府税調に申し入れました。財界・大企業は日本の法人税が重すぎて国際競争に勝てないといいますが、社会保障費の企業負担分を計算にいれれば決して日本の企業の負担は重すぎません。法人税には租税特別措置などがあるので実際の負担率はもっと低くなっています。巨額の利益をためこむ大企業が法人税を重いというのは文字通り身勝手な言い分です。

まず消費税増税中止を

 財界のいうとおり法人税率を引き下げると、税率1%につき国税と地方税合わせて5000億円にのぼる財源が必要です。10%なら5兆円です。財政を破綻させ、その分まで消費税増税というのでは、国民生活を破壊してしまいます。

 もともと法人税の減税は法人税を払っている優良企業にしか恩恵はありません。その財源があるなら消費税の増税を中止し国民の暮らしをよくしてこそ、経済の再生にも財政再建にも役立ちます。


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