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2014年4月15日(火)

主張

ODA大綱改定

軍事分野への拡大許されない

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 今年は、日本が途上国などへの資金・技術協力を行う政府開発援助(ODA)を開始してから60年になります。安倍晋三政権はこれに合わせ、日本のODAの長期戦略を定めた「ODA大綱」を11年ぶりに改定する方針です。すでに岸田文雄外相の下に「ODA大綱見直しに関する有識者懇談会」が設置され、6月に答申をまとめる予定です。改定に際し、ODAを軍事分野に拡大しようとする動きが出ており、危惧されます。

背景に国家安保戦略

 1992年につくられ、2003年に一度改定された「大綱」は、「軍事的用途および国際紛争助長への使用を回避する」ことを「原則」としてきました。実際、ODAによる物資を被援助国の軍隊に渡すことやODAで造った道路・空港を軍隊が使用することを禁じています。ODAによる人材育成も、兵士は対象外です。

 03年の「大綱」改定の際の閣議決定は、「わが国としては、日本国憲法の精神にのっとり、国力にふさわしい責任を果たし、国際社会の信頼を得るためにも、新たな課題に積極的に取り組まなければならない」と述べています。ODAは日本国憲法にのっとって軍事分野には使わないというのが、「大綱」の根本原則といえます。

 岸田外相は、日本共産党の笠井亮議員の質問に対し、「大綱」の改定にあたり「この原則を変えるつもりはない」と明言しました(4日、衆院外務委員会)。

 一方で、木原誠二外務政務官は「(大綱見直しの有識者懇談会で)安全保障を含めた面についても議論をいただく」と述べ、軍事分野への拡大を検討することを表明しました。さらに、「紛争当事国の中にあってこれまで武器を持ちながら交戦してきた皆さんに対して民生支援していく」と、ODAの対象に軍事要員を含めることも示唆しています(同前)。

 こうした動きの背景には、安倍政権が昨年末に決定した「国家安全保障戦略」があります。同「戦略」は、「国際平和協力の推進」として、自衛隊派遣による国連平和維持活動(PKO)へのいっそう積極的な参加とともに、ODAの戦略的活用など「安全保障関連分野でのシームレスな(継ぎ目のない)支援」を掲げました。

 自民党の石破茂幹事長は著書で、「国の外交力」の重要な要素として、▽ODAなどの経済援助▽集団的自衛権を含む安全保障▽武器輸出―を挙げています(『日本人のための「集団的自衛権」入門』)。

 安倍政権はすでに、「国家安全保障戦略」に基づき、武器輸出を原則禁止していた「武器輸出三原則」を撤廃し、原則解禁にしました。同「戦略」のうたう「積極的平和主義」の名の下で、解釈改憲による集団的自衛権の行使にも踏み込もうとしています。それに続いてODAも軍事分野への拡大が図られる危険があります。

国際的信用掘り崩す

 政府は有識者懇談会の答申を受け、年内にも新たな「大綱」を閣議決定するとしています。

 日本国憲法を踏みにじってODAを軍事に利用することは、日本が築いてきた国際的信用を掘り崩すものであり、許されません。「大綱」見直しでは、ODAの力点を大企業の海外進出の条件整備から途上国の自主的・自立的発展へと切り替えることこそ大切です。


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