2014年4月13日(日)
デモ隊 警察局占拠
政権側は流血回避へ努力
ウクライナ東部
自治権拡大容認
【パリ=浅田信幸】ロシアと国境を接するウクライナ東部ドネツク州スラビャンスクで12日、新たに警察局政府庁舎が親ロシア派デモ隊に占拠されました。アワコフ内相が明らかにしました。
ドネツクには前日、ウクライナ暫定政権のヤツェニュク首相が訪問し、流血の事態を回避する努力を行っています。これに挑戦するかのような親ロシア派の行動は問題解決をいっそう困難、複雑にしかねません。
ヤツェニュク氏は11日、ドネツク市の行政・治安当局者らとの協議の中で、親ロシア派デモ隊が要求する地方自治権拡大を目指す住民投票を容認し、歩み寄りの姿勢を示しました。
インタファクス通信などによると、首相は地方の住民投票に関する法律制定を提案し、親ロシア派住民が懸念しているロシア語使用については「いかなる状況下でも制限しない」と断言。
その上で「力の行使には反対」の立場を明確にし、“武装ろう城”を続ける親ロシア派に、占拠を解き武器を引き渡すよう呼び掛けました。
協議にデモ隊の代表は参加しておらず、首相の発言に対する正式の反応は伝えられていません。スラビャンスク警察局を占拠したデモ隊の要求など詳細は不明ですが、政権側にいっそうの譲歩を迫る行動の一環である可能性があります。
一方、ロシアのラブロフ外相は11日、ロシア国営テレビの番組でウクライナ東部の親ロシア派が要求しているロシア編入について、改めて「そのような意図はない。それはロシアの国益に反する」と表明。ウクライナ政権側の自治権拡大提案に一定の好感を示したものとみられます。